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【特集】

幸せのための経営

社員の幸福度と会社の業績は比例する。そもそも、不幸な社員が顧客を幸せにできるはずがない。そこで近年、働く人を幸せにするマネジメントが注目されている。何をすれば、社員は幸せに感じるのか。多様な実例から検証する。
2019.07.31

成功の秘訣はマッチングの妙とマインドチェンジ
高いスキルを持つ高齢者の再雇用を支援
マイスター60


2019年8月号

経験が豊富で高いスキルを持つ高齢者を戦力化したい企業は少なくないはず。しかし、高齢者の再雇用には課題もある。その雇用を約30年にわたって促進しているプロフェッショナルに、支援の在り方を聞いた。

 

おもてなしシニア隊R

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マッチングの妙で高齢者7400名の雇用創出

政府が掲げる「一億総活躍社会」の実現に象徴されるように、現在の産業界の人手不足の状況では、女性だけでなく高齢者の活躍も経済成長には不可欠だ。長年の経験による技術や知見の活用は、労働力不足という問題の解決だけでなく、技術継承や若手の人材育成という面からも注目されている。

その高齢者雇用に、四半世紀以上前から注力している企業がある。それがマイスター60だ。半導体製造装置や各種設備のメンテナンスと設計・開発を手掛けるマイスターエンジニアリング(東京都港区)の子会社として、大阪中小企業投資育成(大阪府大阪市)の出資を得て1990年に設立した。

「創業者で現会長でもある平野茂夫は、『サラリーマン、会社辞めればただの人』という川柳をラジオで聞いて、体は元気で仕事への情熱も失っていないのに、定年退職後はただの人になるのはおかしい、と当社を立ち上げました。『年齢は背番号 人生に定年なしR』というキャッチフレーズの下、シニアの雇用創出を使命に活動しています」

そう設立の背景を語るのは、マイスター60の取締役シニアビジネス事業部長・井口順二氏である。これまで約7400名に及ぶ高齢者の雇用を創出するなど、創業時に掲げた使命を果たしてきた。

同社の提供するサービスは「人材派遣」「紹介予定派遣」「人材紹介」だ。人材派遣は、マイスター60のスタッフとして派遣先の企業で働く。紹介予定派遣は、派遣スタッフとして一定期間働き、派遣契約終了の際に本人と派遣先の双方が合意した上で、派遣先の直接雇用となる。人材紹介は、企業の業務内容に適した人材を紹介し、直接雇用となる。累計約7400名の雇用創出とは、この総数を指す。

現在は362名の高齢者が本部および派遣先で働いている。また、企業からの求人件数は約750件あり、その内訳は、施設・設備310件、設計・施工240件、技術系80件、事務系75件、専門職40件など(2019年3月31日現在)。施設・設備管理や設計・施工分野への求人が多いのは、親会社のマイスターエンジニアリングが施設・設備管理からスタートした会社で、今でも主要事業の一つだからである。

マイスター60のスタッフの最高年齢は79歳、平均年齢は65.93歳。ほとんどが派遣先で働く派遣スタッフで、中には勤続15年の大ベテランもいる。

多くの高齢者が活躍しているマイスター60。成功の背景には、派遣先企業の求人情報の正確な把握がある。

現在、求人の際、年齢制限の記載は特別な場合を除いてできない。従って、60歳以上の求職者が希望する求人に応募すると、年齢で不合格になることも多い。

「当社は必ず営業担当者が企業を訪問し、入念なヒアリングを行います。年齢についても『60歳から65歳までなら問題ないが、それ以上になると難しい』といった細かいニーズを聞き取って把握し、それにマッチした人材を派遣するようにしています」(井口氏)

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