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【特集】

幸せのための経営

社員の幸福度と会社の業績は比例する。そもそも、不幸な社員が顧客を幸せにできるはずがない。そこで近年、働く人を幸せにするマネジメントが注目されている。何をすれば、社員は幸せに感じるのか。多様な実例から検証する。
2019.07.31

目指すは「多様性のある組織」
ボトムアップとトップダウンの両輪で女性活躍を推進
キリンホールディングス


2019年8月号

公募選抜で次世代の女性リーダーを育てる〝大学〟
キリンウィメンズカレッジ

2013年にはユニークな取り組みも開始した。「前倒しのキャリア」だ。20、30歳代の女性社員を対象にしたもので、難しい業務やキャリアチェンジが育児などのタイミングと重複しないように、現状よりハードルの高い仕事を“先取り”で経験し、スキルを磨く試みである。

「女性リーダー育成の一環として行っているプログラムで、早い時期に通常よりも難易度の高い業務を経験してもらいます。やりきることで自信を深められますし、自分の得意分野や個性を知ることもできます。さらに、出産・育児を経て職場復帰する時にも役立ちます。復帰の際は勤務していなかった期間への不安が先立ちますが、難易度の高い業務を先に経験していれば、自信を持って復職できます」(豊福氏)

この取り組みによって、子育てをしながらリーダーとして働く人が増え、組織の活性化に好影響を与えているそうだ。

キリンHDは女性リーダーを育てるために、キャリアに応じた施策を講じており、前倒しのキャリアもその一部である。

まず、全社員が毎年、リーダーとの「キャリア面談」を行い、キャリア形成に対する不安やライフイベントの悩みなどを洗い出す。入社3年目の女性社員は、上司と共に「キャリアワークショップ」を受講。前倒しのキャリアについての理解を図り、リーダーとキャリアについて話せる下地をつくる。

入社3~5年目の現実的に悩み始める年齢層に対しては、「メンタリングプログラム」がある。いわゆるメンター制度だ。メンティーは将来のキャリア像を描いたり、メンターのアドバイスで悩みや不安を解決したりできる。そして、入社6年目以降に待っているのが「キリンウィメンズカレッジ(KWC)」である。

KWCは、公募選抜型の次世代リーダー育成研修プログラムだ。定員は25名、全6回のセッションを約6カ月かけて展開。受講者は、社内外の講師によるキャリアやロールモデルについての講演、問題解決や経営戦略、リーダーシップについての講義、他部門リーダーとの提言練習を経て、役員を前に最終プレゼンテーションを行う。

「KWCは、リーダーシップを発揮することに遠慮・抵抗感のある人や、ビジネススキルに苦手意識を持った人に気付きを与えるための研修です。リーダーとして活躍している社内外の講師がリーダーの考え方を講義して、その世界観やビジネスの醍醐味を知ってもらいます。さらに、他部門リーダーによる“提言壁打ち”や役員向け最終プレゼンテーションなど、主体的に取り組めるプログラムも用意しています。各セッションは1日のみですが、各セッション間に課題が与えられるので、かなりハードな内容です」(豊福氏)

最終プレゼンテーションのテーマは「自場所への提言」。「自場所」とは現在の職場のことで、自身より2階級上のリーダーの立場に立ち、現部署の改善策などを発表する。

2014年にスタートしたこの“大学”で、毎年多くの女性社員が学び、ビジネスリテラシーを身に付けて巣立っていく。

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