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2018.05.31

「食文化のゲートウェイ」として国際競争力を育む
-モノと人が動き、文化が動く現代の教育-
辻調グループ

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2018年6月号
 

職業教育に重点を置く新たな高等教育として、学び直しの受け皿にもなる専門職大学制度が始まろうとしている。「本物の探求」をモットーに、半世紀を超えて「人」の職業教育にとどまらず、食の「文化」「産業」も育む挑戦を続ける学び舎が今思うこととは――。

 
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ブームではなく、持続的な「文化のハブ」の担い手に
 
和・仏・伊・中のシェフに、パティシエやブランジェ(パン職人)、和菓子職人――。世に輩出した料理人は14万人を超え、料理や食文化に関するメディア出演・協力でもおなじみの辻調グループ。日本一高いビル、あべのハルカスがそびえる大阪・阿倍野の地にある、調理師と製菓衛生師を育成する2つの専門学校がその中心となっている。
 
調理師・製菓衛生師の国家資格を目指す1年制学科、文部科学省認定の職業実践専門課程として、フード産業界と連携する産学協同カリキュラムを有する2年制学科、2016年に新設し、より高度で専門的な技術と食にまつわる教養を修得する3年制学科を持つ。その他、独自のカリキュラムで食のプロを育成するスクールを東京と大阪に2校、フランス・リヨンにも学校を展開。このような国内最大の食の総合教育機関で、そのスキームを構築するのが辻調グループの企画部部長・尾藤環氏だ。
 
「産業界の需要に応える職業教育には、常に新しいものを生み出していくアクションリサーチが大切。2019年に始まる専門職大学制度に向け、教育の高度化が注目を集めるのはありがたいことです。でも私たちは創業以来、ずっと教育の高度化を目指してカリキュラムの改良を重ねてきたんですよ」(尾藤氏)
 
そんな辻調グループでは、韓国や台湾などアジア圏の留学生の人数が、過去最多を更新し続けている。2018年度は、専門学校の全学生数の2割を占める300人余の留学生が在籍。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、世界的な日本食ブームが背景にあると思いがちだが、実態は少し違うようだ。
 
「それも1つの要因ではありますが、半数近くは製菓の学生で、日本から西洋文化を学ぼうとしています。なぜならばフランス菓子の製菓技術で、日本が世界最高峰にあるからなのです。調理技術も同じ理由で『日本へ行って、学ぼう』というのが、昨今の世界のトレンドです」と尾藤氏は言う。そんな時流の波を、日本がアジアと世界の懸け橋になることを目指した2000年代の「ゲートウェイ(以降、GW)構想」に重ねる。「まず流通でモノが動き、Cool Japan推進によるインバウンドで人が動いた。その次は文化が動くんですよ」(尾藤氏)
 
辻調グループはすでに、日本と海外をつなぐ食教育活動を開始している。四半世紀前から、海外の日本大使館などに勤務して料理責任者を担う、公邸料理人育成講座を実施してきた。2012年にはタイのデュシタニカレッジと教育連携を行い、以降、韓国・慶州(キョンジュ)大学校や彗田(ヘジョン)大学校とも連携し、日本料理教育を行ってきた。2016年からは米国の名門料理大学CIA(The Culinary Institute Of America)で日本料理講座を開講。その他、シンガポールではWSG(労働者技能資格)に適した日本料理講座のカリキュラムを開発し、現地の料理学校に提供している。
 
「GW構想の鍵はハブ機能化でしたが、教育機関はまさに文化を世界に広げるハブになり得る。特にアジアに対しては、食文化のGWになる考え方が有効的で、留学生もその位置付けで育てていこうとしています」(尾藤氏)
 
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