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【イベントリポート】

イベント開催リポート

タナベコンサルティンググループ主催のウェビナーやフォーラムの開催リポートです。
イベントリポート2021.12.07

事業承継フォーラム

 

 

40代から考える5つの事業承継出口戦略-Exit Plan-

 

 

タナベ経営は2021年11月16日、アフターコロナの新たな未来を展望するためのポイントを紹介する「事業承継フォーラム」を開催。豊富な実績を持つタナベ経営のコンサルタントと、事業承継の経験豊かなゲストによる講演をリアルタイム配信。当日は36名の経営者やリーダー層の方々が視聴した。

※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。

 

 

Session1 「ExitPlan」5つのスタイル
1.事業承継を取り巻く環境
中小企業庁のアンケート調査によると、経営者の引退年齢は60歳代後半~70歳と高齢化が進んでいる。また、2025年には6割以上の経営者が70歳を超えるが127万社で後継者不在と、事業承継に関する経営課題が浮き彫りになっている。

 

そのような中、近年、親族外・第三者への事業承継が増加しており、親族への承継だけが有力な選択肢ではなくなっている。

 

2.多様化する事業承継と出口戦略のポイント
事業承継を考える上で、大きく「親族内承継」「ホールディング経営」「IPO(株式上場)」「MBO(経営陣買収)」「M&A」の5つがある。(【図表1】)

 

自社の経営課題や成長ステージ(創業期、成長期、成熟期、事業承継期)に合わせて取るべき選択肢(出口戦略)を変えることが重要である(【図表2】)。まずは、自社の立ち位置を整理していただきたい。

 

【図表1】各事業承継手法を選択する際の価値判断基準 

 

【図表2】企業(事業)のライクサイクルから見る選択肢(出口戦略)

 

 

 

株式会社タナベ経営

ファンクションコンサルティング東京本部長

鈴村 幸宏

メガバンクにて融資・外為・デリバティブ等法人担当を経て、2005年タナベ経営入社。2020年よりファンクションコンサルティング東京本部長兼戦略CFO研究会リーダー。経営戦略・収益戦略を中心に幅広いコンサルティングを展開。企業を赤字体質から黒字体質にV字回復させる収益構造改革、ホールディングス化とグループ経営推進支援、ファイナンス視点による企業価値向上、投資判断、M&A支援の実績多数。

 

 

 

Session2 「事業“昇”継Plan」の事例紹介
1.企業を取り巻く外部環境
日本企業を取り巻く経済環境は、加速度的に変化している。過去の概念を踏襲するだけでは生き残れない時代になった。激変する経営環境の下、「独立資本で経営を貫くことの意義」を再確認する必要がある。

 

2.高齢化が進む経営者問題
帝国データバンク「全国社長年齢分析」(2021年2月)によると、全国の社長の年齢割合において、70歳代以上の割合が全体の4分の1を占めることから、社長の高齢化・事業承継が喫緊の課題である。また、高齢社長が在籍する中小企業は、社長の属人的なスキルで経営を支えているため、M&A後の企業経営の難易度が高い。現社長が若いうちから長期的な視野に立ち、事業昇継Planを立案・実行する必要がある。

 

3.事業昇継Planとファイナンス戦略
非上場企業が事業昇継Planを策定する際、ファイナンス戦略を柔軟に、かつ多様化しておくことが重要である。①金融機関からの借り入れ以外のファイナンス手法、②財務バランス、③最適資本構成の3つを意識していただきたい。また、事業昇継を実行に移す際は、オーナー経営者のEXIT Plan(出口戦略)を見据え、企業として「やりたいこと」「できること」を見極め、事業計画・資本政策を立案することが重要だ。

 

4.事業昇継の具体例
成長事業の分離による資金調達事例を紹介する。成長企業を別会社化し、株式を譲渡して事業価値を一部資金化。新会社はIPOを目指し、既存会社は売却資金で新事業を開始した。

 

答えは1つではない。ステークホルダーに納得感のある事業昇継Planを策定し、併走者とともにPDCAを回し続けていただきたい。

 

 

 

グローウィン・パートナーズ株式会社

代表取締役CEO

佐野 哲哉氏

2005年の創業以来、企業を支える「経営参謀のプロフェッショナルチーム」として、主に上場企業を対象にM&A支援事業、ベンチャー企業投資事業、バックオフィス業務のコンサルティング支援を展開。自社の存在目的を「Making Corporate Innovation(コーポレート・イノベーションの創造へ)」と定義し、クライアント企業と自社の企業変革にチャレンジし続けている。

 

 

 

Session3 MBO、MEBOで第三者による事業承継を実現した事例
事業承継の目的は、「良きオーナーシップの承継」である。事業経営は終わりのない駅伝競走のようなものだ。責任を持って走り抜く覚悟を持ったランナーを育て、できるだけ走りやすい環境を整備した上でバトンを渡すことが、経営者の重要な使命である。

 

私は、前社長の急死をきっかけに、“急場しのぎの雇われ社長”として2011年に経営のバトンを受け取った。だが、ワンマン社長であった先代の急逝によって、最大の強みである企業文化が形骸化し、同族経営への求心力が失われていった。

 

このような経営課題が残る中、2013年に当社の経営理念を「社員の幸福の実現」と定めた。私が行った経営改革は次の3つである。

 

1.経営スタイルの大改革

 

①経営理念の制定と理念経営への脱却。
②下請け型事業からの脱却

 

2.経営理念と改革を実現するための前提となる資本政策の断行

 

③2014年に第一段階としてMBOを実施し、オーナー保有の全株式を取得
④資金・税務問題をクリアした段階でMEBOを実施

 

結果として、売上高は社長就任当初の2011年度と比べ倍近く上昇し、経常利益も順調に推移している。社員の給料も、2020年度は全体平均年収530万円となっている。人事制度導入前の2014年と比べると、約100万円も上がっている。何より、平均残業時間が約11時間と、社長就任当初と比べて劇的に減ったのには驚いた。

 

事業承継の目的は「良きオーナーシップの承継」である。進んで経営責任を負う覚悟を持つ社員を、継続的に輩出し続けることが重要だ。そのためには、「どのような資本政策が最適な手段であるか」を考え続けていただきたい。それが事業承継の本質である。

 

 

※役員と従業員が株式を買い取り経営権を掌握する手法

 

 

 

セリオ株式会社

代表取締役会長CEO 兼

人を大切にする経営学会 常任理事

壹岐 敬氏

1956年鹿児島県生まれ。1979年住友銀行(現三井住友銀行)に入社。主にコーポレートファイナンスを担当。1991年住友銀行退職後、NPO法人の立ち上げに参画。その後、ベンチャー企業数社でIPO担当役員を歴任。米デラウエア州にて米国公認会計士試験に合格。2005年セリオ東洋グループに入社。2011年同社代表取締役社長に就任。

 

 

 

Session4 これからの事業承継
事業承継は、「企業成長のターニングポイント」である。これまでの事業承継は、「バトンをつなぐ」というイメージが強かった。今後は、事業承継を企業成長のターニングポイントと捉え、企業価値を高めることが重要だ。その際、整えるべき経営システムや会社の仕組み構築など、事業承継までの前段階が非常に重要になってくる。

 

そして、最も重要なのが「事業承継戦略の意思決定」である。事業承継戦略構築のポイントは、①株価対策のみに偏った資本政策は描かない、②一時的なテクニックだけに依存しない、③事業承継の目的を見失わないの3つだ。経営者としての義(みち)をずらすことなく、企業成長のための意思決定をしていただきたい。

 

 

 

株式会社タナベ経営

ファンクションコンサルティング大阪本部

本部長代理

浜岡 裕明

2006年タナベ経営入社。経営者の志を受け止めるコンサルティングスタイルで、ホールディング設立支援・グループ経営システム構築・事業承継計画策定・企業再生など経営機能別コンサルティングに定評がある。組織経営体制を目指した経営システムの構築、後継者・経営幹部育成を多数経験している。ビジネス・ブレークスルー大学大学院(経営学修士)修了。

 

 

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