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【研究リポート】

FCC FORUM 2021

タナベコンサルティンググループ主催「ファーストコールカンパニーフォーラム2021~DX価値を実装する~」(2021年6~8月、オンデマンド開催)の講演録。デジタルを軸に、サービスやビジネスモデル、業務プロセス、組織風土を変革し、競争優位性を発揮する要諦を提言します。
研究リポート2021.10.01

プラスアルファ・コンサルティング
科学的な人事戦略・タレントマネジメントを実現

DX推進プロジェクトを2015年に開始

 

タナベ経営・北島(以降、北島) 科学的人事や成長のための人事戦略の推進方法、また、タレントパレットの事例紹介をしていただきながら、企業におけるDX導入のポイントをお伺いしたいと思います。

 

鈴村 当社はビッグデータを見える化し、企業での活用支援を行っております。ビッグデータの活用はマーケティングの領域で売上拡大のために用いられることが多いのですが、人事戦略の領域で活用しているのが当社のサービスの大きな特徴です。このようなデータに基づいた人事を「科学的人事」と呼び、従来の属人的な人事からデータに基づいた意思決定へのシフトをお手伝いして、さまざまな企業の人材活躍に貢献しています。

 

北島 なぜ今、科学的人事が求められているのでしょうか。

 

鈴村 1つは新型コロナウイルスの感染拡大によって働き方が変わり、評価制度を見直す企業が増えているからです。もう1つは急速なデジタル化です。事業そのものや働く環境もデジタルシフトをしなければいけない。その中で企業によっては、新規事業を立ち上げて、新しい成果を出していかなければいけない状況に追い込まれています。

 

このような経営課題に対する解決策として、科学的人事に期待が集まっています。新しい事業にシフトチェンジするにしても、社員のスキルを見える化をして適切な投資をするにしても、最適配置や育成をしっかりと実践することが企業の競争力に直結する。そのため社員のスキルをポートフォリオのように把握し、人事戦略について高度な意思決定をすることが必要なのです。

 

採用管理ツール、研修管理ツール、人事システムなど業務を効率化するためのシステムを導入されている企業は少なくないと思いますが、データがバラバラでは高度な意思決定へとつながりません。バラバラのデータを人力でまとめるのではなく、人材を把握できるようなデータのプラットフォームを構築することがDX化の第一歩です。

 

採用・配置・育成・評価・活躍といったデータを把握できるのが、当社が提供する「タレントパレット」です。現在、業界や業種に関係なく、社員数が数百人から数万人規模の幅広い業種の企業で活用いただいています。

 

 

データを最適配置や人材育成に活用

 

北島 タレントパレットは各社でどのように活用されていますか。

 

鈴村 A社では、必要なデータの加工を人が行っており、分析業務に6時間かかっていましたが、導入後は15分で終わるようになったそうです。また、経歴やスキルなど人材を多角的に把握するツールとして、今後の人事戦略を立てる際にお役立ていただいております。

 

北島 これまでに使っていた管理システムとの連携は可能ですか。

 

鈴村 各社でいま使っている管理システムのデータを取り込むように構築できます。例えば、別々に使っていた勤怠管理と評価管理のデータをタレントパレットで組み合わせて、残業の程度と評価を軸にした社員一覧をダッシュボードにまとめることが可能です。分析をする上で、残業が少なく評価の高いハイパフォーマーな社員の情報を見たければ、社員のアイコンをクリックします。すると、経歴や研修の受講履歴、モチベーションなど本人にひも付いたデータを確認できます。

 

北島 データを活用すれば、人材の抜てきなども簡単にできるようになりますね。

 

鈴村 その通りです。製造業B社では、技術者の専門性の見える化が課題でした。導入後は経歴・勤怠・評価・スキルデータといったデータを統合一括で管理できるようになりました。さらに、社員一人一人にタレントパレットからアンケートや自己申告書に回答してもらいました。データを基に、社員の志向性や要望、性格特性を把握した上で人材抜てきに役立てています。

 

北島 プロジェクトチームを結成したい時などは、データを参考にしながらチームメンバーの構成をシミュレーションできます。つまり、人材の最適配置も可能になるわけですね。

 

鈴村 社員の年齢や給与も把握できるので、チームを構成するメンバーの平均年齢や人材コストも考慮したバランスの良いチームづくりが可能です。また、各社員の足りないスキルを把握し、それを補う研修やセミナーを受講してもらうといった育成戦略の策定にも役立てられます。

 

市場が目まぐるしく変わる中、スピーディーにチームをつくったり、部門をまたいだメンバーでプロジェクトを立ち上げたりする企業は少なくありません。部分最適ではなく全体最適のため、戦略的に人材を把握することが求められています。タレントパレットは社員情報の一元化と人事業務の効率化だけでなく、データを活用することで、社員の能力を生かした最適配置、スキルの見える化と戦略的な人材育成、社員のエンゲージメント向上、離職防止、採用強化などに貢献しています。

 

北島 さまざまなデータを蓄積し、一元化するだけでなく、それをどう活用するか。そこが重要ということですね。

 

鈴村 そうです。情報を管理するという発想から情報を活用するという考え方にシフトチェンジすることが鍵になります。科学的人事によって、企業が持続的に成長できる仕組みづくりを行う。そんな活用をしていただきたいと考えています。

 

北島 人事DXのあるべき姿がよく理解できました。本日はありがとうございました。

 

 

鈴村 賢治(すずむら けんじ)氏
プラスアルファ・コンサルティング 取締役副社長

 

 

PROFILE

  • (株)プラスアルファ・コンサルティング
  • 「あらゆる情報から付加価値を生み出し続ける、見える化プラットフォーム企業」として、2006年の設立以来、顧客の声や顧客データ/購買データ、人事情報のようなビッグデータを「見える化」し気付きを与える力を持つ、「テキストマイニング」や「データマイニング」などの技術を核としたクラウドソリューション事業を行う。人材戦略に必須となる採用から育成、配置、評価、抜擢・活躍までを一気通貫で行う「タレントパレット」を提供。

 

 

Interviewer

北島 康弘(きたじま やすひろ)
タナベ経営
中四国支社 副支社長

 

 

 

 

 

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