AIを使った合理的な採用・配置・育成・活躍を実現
セプテーニ・ホールディングス
2021年10月号
【図表1】人材育成の方程式

出所:対談資料よりタナベ経営作成
タナベ経営・細江(以降、細江) ヒューマンリソースDXで、先進的な取り組みをされているセプテーニ・ホールディングスの上野代表取締役と、人的資産研究所の進藤代表取締役にお話を伺います。まずは会社と事業の概要についてお聞かせください。
上野 当社は1990年に創業し、新卒採用のコンサルティング事業をスタートしました。その後は、ダイレクトメールを活用したマーケティング事業へと大きく軸足を移行。さらに、2000年からは現在のメイン事業であるインターネットマーケティング事業へと進出しました。現在、グループ会社は30社以上で、従業員数は約1450名(連結)です。
細江 成長著しい貴社ですが、なぜユニークな人事施策を始めたのでしょうか。
上野 理由はいくつかありますが、最も大きい理由は、インターネット事業に参入後、経験したことのないスピードで会社が成長していったことです。組織内で人材の供給や育成が追いつかない状況に陥ってしまった。それが長く続くと、HRが事業成長の足かせになってしまう。そんな中、私は人事担当として外部のさまざまな人事サービスを活用したのですが、なかなか良い結果が出せずにもがいていました。
その際、現代表の佐藤(佐藤光紀 セプテーニ・ホールディングス代表取締役/グループ社長執行役員)から重要なアドバイスをもらったのです。「一般的な方法論を活用しても結果が出ないのだから、考え方を変えよう」と。そこで『マネー・ボール』(マイケル・ルイス著)という、映画化もされた米国の大リーグの実話を参考にしました。簡単に説明すると、有名な選手をスカウトするのではなくて、チームを勝たせる選手を獲って、自チームの戦略に適合させた育成をすることで勝利をたぐり寄せるストーリーなのですが、佐藤から「そういうマネジメントしよう」と貴重なヒントをもらいました。
そして試行錯誤の末にたどり着いたのが、「G=P×E(T+W)」という方程式です(【図表1】)。Gは成長(Growth)、Pは個性(Personality)、Eは環境(Environment)、そしてTがチーム(Team)、Wは仕事(Work)を表し、人は環境の影響を受けながら成長することを意味しています。この概念とAIを使って、今では採用、新入社員のオンボーディング(人材の定着・戦力化)など、さまざまな人事サービスに活用しています。具体的な取り組みについては、進藤がご説明します。