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【コンサル事例】

チームコンサルティング事例

クライアント企業とタナベコンサルティンググループのコンサルチームが取り組んだ経営改善の事例。施策と成果を紹介します。
コンサル事例2022.06.06

グリーンメタル:次代を担うリーダー人材を育成、社員が自ら考え行動する“組織経営”へ

 

ポイント


1 経営者に頼らない、自立型の組織経営へシフト
2 研修&プロジェクトでリーダー人材を育成
3 現場改善・在庫見直しで利益改善

 

 

お話を伺った人


グリーンメタル株式会社 代表取締役社長 菅原 剛氏

 

 

 

 

自立型“組織経営”へのシフトが企業を強くする

 

——1979年の創業から40年余を数え、医療機器や自転車、一眼レフカメラ、ゲーム機などの精密部品の切削加工を手がけるグリーンメタル様。安定した生産基盤と財務基盤のもとで着実に成長を遂げています。社長ご就任当時に抱えていた課題、タナベ経営のセミナーご参加のきっかけについてお聞かせください。

 

菅原社長:先代(菅原信男氏)はオーナー創業者らしく、リーダーシップの強い経営者でした。他社とは違った加工方法で、自動盤加工の強みを発揮できるのも、そのおかげです。これはトップダウン経営の良さですが、一方で人材の育成や組織的な経営については強化できていませんでした。

 

社長が旗を振らないと進まないような会社にはしたくないと考えていたので、2019年次世代経営塾への参加を決めました。私が社長になって10年目の時です。ただ、研修課題として中期経営計画を立案しましたが、私の中で消化しきれなかったというか、学んだことがすっきりと腹落ちしていませんでした。

 

——コロナ禍のあおりを受ける中、翌年(2020年)にはタナベ経営の成長戦略構築研修会にご参加いただきました。

 

菅原社長:研修会では、タナベ経営とマンツーマンで課題認識から取り組みました。当社のことをよく理解してくれるので、計画がどんどん具体化していきました。例えば、モノづくりの生産力と財務基盤は当社の強みですが、その強みをさらに強くしていかなければならないこと。PDCAがしっかり回るようにして人材と経営の基盤を強化し、「組織経営」に変えていかなければならないこと…。提案の一つひとつが心に刺さりました。私の思いをしっかり汲み取り、解決の方向性を明確に示してくれた印象です。

 

また、私一人でうっすらと考えていた長期計画ですが、タナベ経営と一緒にすることで、具体的な形にするとともに、初めて「経営方針書」を策定し、社内に発表することができました。

 

 

※タナベ経営と荘内銀行が開催した次世代経営者向け経営塾

 

 

——経営方針書を作成されたご感想、内容についてお聞かせください。

 

菅原社長:経営理念やモノづくりの思想、私の思いと、どれもしっかりインタビューで聞き取ってくれました。経営のプロから見た独自の見解も加え、社員が見てわかる表現に心を砕いてくれました。おかげで、納得しながら経営方針書づくりを進めることができましたね。

 

具体的な取り組みは、初年度が「経営方針書の浸透・実行」、次年度は「人事制度の構築とプロジェクトチームによる改善活動の推進」です。「経営方針の浸透・実行」は組織経営の基本。また「人事制度」は経営方針を実行する社員をしっかり評価に反映するのが狙いです。評価基準が明確になれば社員の納得度も高まりますし、今後誰が社長になっても経営ができると考えています。

 

 

組織経営への変革に向けて、経営方針書の浸透・実行、人事制度構築、改善活動などに取り組んでいる

 

 

経営方針の浸透、組織経営を目指して、次世代リーダー育成へ

 

——経営方針を浸透させ、組織経営化を図るため、リーダー人材の育成に着手しました。

 

菅原社長:これまで社員研修はOJTが主体でした。ですがOJTだと技術面は向上できても、リーダーシップはなかなか育ちません。そこで、経営方針を浸透させ、組織経営化を促す狙いもあってリーダー研修を開始しました。

 

リーダー研修は課長、係長、班長の14名を対象に毎月実施しています。リーダーシップとは何か、組織論、部下育成など、リーダーシップ強化の研修カリキュラムを実施し、タナベ経営に講師をお願いしています。

 

——菅原社長は毎回、オブザーバーとして聴講されています。

 

菅原社長:座学だけの一方通行の学びではなく、ディスカッションしながら自社に落とし込む内容は、見ていてとてもワクワクします。思わずディスカッションに飛び入り参加してしまったこともありました(笑)。

 

社員にとっては研修そのものが初めての経験です。はじめは現場業務との両立が難しい、という社員もいましたが、発言が前向きになったり、積極的にディスカッションに参加するようになるなど、少しずつ変化が現れていると感じます。

 

 

現場改善・在庫見直しでコスト低減、利益改善に成功

 

——経営方針を浸透・実行する段階で、原価低減活動も始まりました。

 

菅原社長:経営方針書づくりに向けて決算書をタナベ経営に託した際、現場の消耗品に削減の余地があると指摘を受け、原価低減活動を方針に加えました。具体的には、150台ある自動盤の加工刃の交換基準を定め、マネジメントを推進しました。

 

従来は現場の作業員が、摩耗度合いを見て自由に変えていたのですが、結果として1年間の工場消耗品費で原価削減効果が生まれました。全社的な原価も、コロナ禍の反動需要で売上高が1.1倍に伸びる一方で前年実績の8割に抑えることができ、経常利益率1%の利益改善につながっています。

 

 

 

リーダー研修を通じ、メンバーの発言や発想が前向きで積極的なものへ変化。原価低減活動も進み、原価削減や利益改善につながっている

 

 

——売上改善のため「在庫をつくる」という発想の転換も生まれました。

 

菅原社長:当社の場合、既存製品の受注延長に関しては先読みしやすいのですが、この話をタナベ経営に伝えると、「延長確定後の増産ではなく、あらかじめ自動生産のロット数を増やし在庫にする『在庫半見込生産』にすれば、生産コストは変わらずに稼働率が上がって効率化し、利益につながる」と提案を受けました。実際に売上、生産高アップにつながっており、今後も受注頻度の高い既存製品から切り替えていく予定です。

 

 

明確な評価基準で社員の納得度を高める

 

——2022年10月からは新人事制度を導入予定です。

 

菅原社長:等級・評価・賃金を連動させたトータル人事制度を構築中です。「世界に通用するブランドになりたい」「誠実な人でいてほしい」「技術力を高めてほしい」。私が大切にしたい経営の要素を、しっかりと評価につなげるものに、タナベ経営と一緒に落とし込んでいるところです。

 

組織活力サーベイ」を実施して意外だったのは、低いと考えていた賃金が「そこまで低いとは思わない」ということ。逆に納得したのは、「社員の納得性の低さ」です。これまで明確な評価基準がなかったので、社長のさじ加減で勝手に決まるイメージだったみたいですし、やはり制度が必要だと確信しました。

 

当社は離職率が低いのですが、若い人に魅力のある会社として磨きをかけ、優秀な人材をどんどん採用できるようにしたいと思っています。具体的には、工業高校だけでなく普通高校からも採用し、しっかり成長できる仕組みをつくり、働きやすさをアピールしていきます。

 

当社は2020年から3年連続で「ユースエール認定」(厚生労働大臣認定)の「基準適合事業主」に認定されています。これは若者の採用・育成に積極的で雇用管理状況が優良な企業の証しです。また、地元の「やまがた健康企業宣言」にも登録。人にやさしい働き方と環境に、さらに力を注いでいます。

 

——人材・生産基盤のステージアップを目指すプロジェクトも始動しています。

 

菅原社長:現在は「5S強化」と「新入社員の教育方法」の2つのテーマを3チームで進め、定期的に成果発表をしています。自分で課題を発見し解決できるリーダー人材が育つ場をつくり、経験を重ねてもらうことが目的です。

 

5Sの効果はすでに出ており、「工場が広くなったのでは?」と感じるほどです。「要らないものを捨てることから始める」など正しい5Sの進め方をタナベ経営から教わり、不要な棚などを捨て、工場のレイアウトも変わりました。空いた倉庫も戦略的な在庫スペースに変えたところ、延長受注用の在庫も増やせるようになったので、今後さらに利益向上が可能になると楽しみにしています。

 

 

社員の誇り、企業のブランド価値を育んでいきたい

 

——今後の展望についてお聞かせください。

 

菅原社長:2030年を、組織経営実現のマイルストーンにしたい、と考えています。ISO認証取得、取引先数の拡大など、しっかりとリスクを分散する。また安心して働き続けられる会社に変えていきたいと考えています。

 

何より、社員に誇りを持って働いてほしいですね。当社の製品は最終製品の中に入る部品なので認知されにくい。ですが、「こんな製品に使われて、世の中のこんなシーンで人に貢献している」と伝えながら、世界から必要とされる製品をつくるという誇りとブランド力を高めていきます。

 

 

医療機器やカメラなどに使われ、私たちの暮らしを支えるグリーンメタルの製品。
社員の誇りとブランド力を高めながら、さらなる飛躍を目指す

 

 

——目指している「組織経営」の姿についても、独自のお考えをお持ちです。

 

菅原社長:2030年までに社員の誰もが進むべき方向性を理解し、人を育てるリーダーになり、当社を経営できるようにしておきたい、ということです。社長は旗を振らなくても、責任だけ取ればいい。「経営者のいらない会社経営」ができるようになることが理想です。

 

組織体系も、2030年までに変えたいと思っています。例えば、工場長は生産管理と製造の両部門をマネジメントしているので、製造・品質保証・品質管理の各部門に分けることで機能的になり、リーダーも育ちやすくなります。

 

——2030年の「組織経営」の実現、さらにその先にある「グリーンメタルブランド」の確立も見据えて、しっかりと寄り添いながら、より多くの納得と成果を生み出す支援を続けていきます。本日はありがとうございました。

 

 

PROFILE

    • 会社名:グリーンメタル株式会社
    • URL:https://www.green-metal.co.jp/
    • 所在地:山形県鶴岡市宝田3-11-25(鶴岡東工業団地内)
    • 設立:1979年
    • 従業員数:45名(2021年4月1日現在)

※ 掲載している内容は2022年5月当時のものです。

 

 

 

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