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【コンサル事例】

チームコンサルティング事例

クライアント企業とタナベコンサルティンググループのコンサルチームが取り組んだ経営改善の事例。施策と成果を紹介します。
コンサル事例2022.03.18

新潟クボタ:ISO9001を活用した、経営システムのリデザイン

 

ポイント


1 属人化した業務の「見える化」を図り、経営システムを改善。顧客満足度の向上を図る
2 全社的なプロジェクトチームで議論を深め、社内の課題を発見し、解決する
3 見える化や標準化が図れる仕組みやツールを導入。全社への浸透・定着に向けて検証

 

 

お話を伺った人


新潟クボタ 代表取締役社長 吉田 至夫氏

 

 

 

 

 

全社統合のISO9001取得を目指す

 

—— 今回、新潟クボタがISO9001の全社統合に取り組まれた背景からお伺いできますか?

 

吉田: 実はISO9001については2017年から事業部ごとに取得してきました。まず、サービス事業部からスタートし、その後、農業施設事業部、車輛・特販事業部、営業本部、管理本部へと展開し取得しました。事業部によって業務内容がまったく異なるため、まずはISO9001と親和性の高い農業機械農のメンテナンスや修理などを行うサービス事業部から先行して行ったのです。そして現在は、全社統合に向けて取り組んでいます。

 

ISO9001取得の背景については、品質管理マネジメントを取得することで、業務の品質向上を目指すことが重要な目的です。近年は、農家の法人化が進み、顧客から求められるサービスが高度化してきました。また、アグリテックの台頭など、市場が大きく変わってきています。そこへ対応するには、専門的な事業を行う部門を個々で展開するのではなく、部門を横断したチームで専門的な知見を交えながら質の高いサービスを提供していく必要性を感じています。ISO9001の取得を通して、従来の経営システムのリデザインを行い、さらに顧客満足度の向上を図ることを最終ゴールとしています。

 

※組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組みに関する国際規格。取得企業は顧客からの信頼獲得や第三者からの視点(認定機関)による問題の発見、継続的な業務改善などが期待できる

 

—— 経営システムのリデザインを行い、顧客満足度の向上を目指すということですが、これまでどんな課題があったのでしょうか?

 

吉田:各事業部の業務の在り方は、それぞれが長年の経験を積み重ねてきた方法で行うという、いわば「属人的かつ部分最適」でした。そのため多くの社員が何の疑いもなく慣習に従って業務を遂行してきました。しかし、時代はどんどん変化しています。農業やお客さまである農家を取り巻きく環境は、かつてないほどの変革期を迎えています。当社は、クボタ農業機械の販売・メンテナンスを中心に、農業に関する幅広いソリューション事業を展開する「トータルアグリソリューション」を主要戦略にしています。これからはお客様を支援するためにさらに質の高いサービスを提供していく必要があると感じております。従来の慣習や常識にとらわれることなく、業務内容やマネジメントの在り方を問い直す意味でもISO9001取得は最善の方法だと考えていました。

 

これまで事業部ごとに独自のルールや個人のやり方でバラバラに行っていた仕事の進め方を、誰もが同じ方法で進める標準化・見える化を図ることで属人化からの脱却を図ること。また、業務の在り方をゼロから見直し、ミスやロスを軽減する業務フローの確立などにチャレンジしました。こうした改善を行うことで、お客さまに対して迅速かつ柔軟にサービスを提供できるとともに、社内の事業部間の連携強化にもなり、顧客満足度向上につながると考えています。つまり、「部分最適」から「全体最適」へと移行していく。そんな観点からISO9001の全社統合に取り組んでいます。

 

 

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