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【コンサル事例】

チームコンサルティング事例

クライアント企業とタナベコンサルティンググループのコンサルチームが取り組んだ経営改善の事例。施策と成果を紹介します。
コンサル事例2022.03.17

技研:「自社ビジョン」「仕事の評価」を見える化し「Change & Grow」を実現

 

 

「働き方改革プロジェクト」で残業時間が大幅減

 

—— 経営の未来と評価の仕組みが見える化し、さらに生産性と満足度の向上へ向けて、「働き方改革プロジェクト」(PJ)もキックオフしました。

 

宮本:経営体質や組織体制は強化されましたが、少数精鋭なので残業の多さは変わらないままでした。国の働き方改革の推進も踏まえ、タナベ経営に相談して2017年の夏にPJをスタートしました。

 

PJメンバーには管理職だけでなく若手も加わり、「育成、標準化、システム強化、会議・風土改善」などテーマ別にチームを編成しました。

 

1期目はノー残業デーの実施など、業務効率の向上や残業削減の意識を高める取り組みを推進しました。また、少ない工数でいい仕事をする役職者に偏りがちだった設計業務も、業務等級別に1工数当たりのチャージに差をつけることで、コストが安い若手が担うチャンスが増え、役職者は本来の管理・開発業務に専念できるようになり、一気に残業が減りました。

 

—— 翌年度以降もメンバーを交代してPJを継続し、社内風土の変革にもつながっています。

 

宮本:PJの成果は2年目に、残業時間が全社で3261時間、月平均で約272時間減少し、80~100時間超も多かった一人当たり残業時間も月30時間を切りました。同時に、「最も生産性が上がるのは、人が育つこと」という考えが生まれました。

 

「3年間で一人前のエンジニアをつくる」と若手の早期戦力化にも乗り出して、「どんな人を育てたいのか」の育成計画やカリキュラムを策定し、先輩社員がロールモデルとなって教育係を務めるエルダー制度も導入しました。階層別のキャリアアップも含めて、全社的に「人を育てる風土」へと大きく変わりました。

 

—— 「組織の階層とは違うかたちで、社内のリーダーシップが生まれるようになった」と言われたのが、とても印象に残っています。

 

宮本:面白いのは、「働き方改革や残業の是正」から「会社をより良くしていこう」という視点へ自然に変わったことです。働きやすい健康経営を目指す動きが「いしかわ健康経営優良企業」知事表彰に結びつき、若手社員にも権限を与えることで誰もが行動を起こし、活躍できる。そんな自発性やリーダーシップが、現在進行形で育っています。

 

管理職やリーダーになる前に、人を動かす大変さと大切さを知る人が増え、組織が動きやすくなりましたし、何よりも「もっと学びたい」「会社や業績に貢献したい」というマインドが高まっています。

 

 

「働き方改革プロジェクト」を通じて、生産性や人材育成、社員の自発性・リーダーシップを重視する風土への改革が実現

 

 

社員の成長は、企業価値を高める原動力

 

—— 中期ビジョンでは事業承継も大きなテーマでした。全社マネジメントを経験し、権限移譲も進めながら、2021年5月の株主総会を経て、副社長から社長に就任される予定です。

 

宮本:中期ビジョンも後半は中心となって動き、2020年8月期に売上高60億円、経常利益率12%を達成し、新たに始まる5カ年中期経営計画の策定も主導してきました。

 

サーベイショックから4年後、2019年にもう一度サーベイを実施しましたが、社員の納得や満足度が高まった手ごたえを感じています。未来と評価を見える化し、価値観や方向性がわかるようになると社員の動きが変わり、企業価値を高める確かな原動力になっていくことを学んで、私自身が経営者に育つ格好の機会にもなりました。

 

—— 今後は経営トップとして、自動車分野とアルミ分野に次ぐ第三の柱に、産業機械分野を育てていく挑戦が始まります。

 

宮本:若手は一人前のエンジニアに、役職者は技術・マネジメントのリーダーに。育った人がしっかりと価値を創り出すことが、新中期ビジョンのテーマです。売上高100億円、経常利益率15%以上を目標に、スポット型からベース型へ、安定経営のビジネスモデルの実現を目指していきます。世界に先がけた自動化技術で新たな価値と市場を創り出し、技術も人も育ち続けるエンジニア集団になって、私の後を担う経営者を育てることも、大事なミッションです。

 

—— ものづくりに流れをつくる会社に、人が活躍する流れが生まれました。新たなスローガンも、一歩進めて「Change to Grow」(変化を成長に)です。

 

宮本:新中期ビジョンには「幸せ目標」も加えています。経営理念にもう一つ掲げる「調和のとれた発展で、社員の生活をより豊かにする」ことへの、新たな一歩です。社員と会社がともにやりがいや成長を実感し、GIKENブランドも確立していく。そして、自分の子どもを入社させたい、と思える企業になっていきたいですね。

 

 

PROFILE

    • 会社名:技研株式会社
    • URL:https://www.giken-jpn.com/
    • 所在地:石川県能美市下清水町3番地2
    • 設立:1970年(創業は1964年)
    • 従業員数:100名(2021年3月現在)

※ 掲載している内容は2021年3月当時のものです。

 

 

 

 

 

 

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