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100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【コラム】

トップメッセージ

タナベコンサルティンググループ、タナベ経営の社長・若松が、現在の経営環境を踏まえ、企業の経営戦略に関する提言や今後の展望を発信します。
コラム2018.12.27

2019年 年頭指針:若松 孝彦

未来が変わるならば、
会社の未来の形を変える必要がある。

 

「フューチャービジョン2030」
未来の顧客価値を再定義せよ

 

未来が変わるならば、会社の未来の形を変える必要がある。それは、古いものを復活させることではなく、新しい形を描くことで未来の期待に応えることです。つまり、事業・収益・組織・人材・生産性のトランスフォーメーションを実現していくことが大切なのです。

 

これらを生み出すのは、「競争戦略」ではありません。変化する未来において競争は逆効果を生みます。今、求められているのは、より遠くから今を見つめるバックキャスティング視点の戦略であり、未来において私たちはどのような使命や役割を果たすのか、そのミッションを追求する新しいストーリーの構築です。それを「フューチャービジョン2030」と呼んでいます。先のSDGsもそうなのですが、3年、5年先よりも10年先の「2030年」をターゲットに戦略を練ることがポイントです。

 

私たちは、会社をまるごと変身させるトランスフォーメーション戦略を「変わる未来に向けた、ビジネスモデルとコーポレートモデルの改革的転換」と定義します。「ビジネスモデル」とは、自社の事業価値を決定付けるビジネスプロセスであり、「コーポレートモデル」は社内における企業価値を高める要素です。この2つを転換することで、会社全体の変身につながります。トランスフォーメーション戦略において求められる「革新」と「改革」の複合化とは、次の通り。

 

トランスフォーメーション戦略=ビジネスモデル革新×生産性カイカク

 

ビジネスモデルの「革新」によってもたらされる収益力とは、売上高経常利益率の向上であり、目指すべき数値は「売上高経常利益率10%以上」の生産性カイカクなのです。生産性とは「生産活動に対する(労働・資本などの)生産要素の寄与度」、つまりインプットに対してアウトプットを最大化することであり、「1人当たり経常利益」を高めることが求められます。目指すべき数値は「1人当たり年間経常利益300万円以上」です。すなわち、「粗利益率40%、経常利益率10%、連続10年で実質無借金のFCCブランド企業」を目指さなければ、「トランスフォーメーション戦略」の価値は半減します。

 

トランスフォーメーション戦略に共通している項目は次の6項目です。

 

トランスフォーメーションに必要な6つの戦略指針

  • □ 10年先からのバックキャスティングを行う
  • □ 成功体験を捨て未来の顧客価値を再定義する
  • □ 本業と向き合いポートフォリオを最適化する
  • □ 売り上げ・利益のセグメンテーションを変えきる
  • □ マネジメントよりもリーダーシップを重視する
  • □ 会社の変身ストーリーをブランディングする

 

私の経験科学では、トランスフォーメーションの実行は20年から30年に一度は直面する戦略なのです。多くの場合は事業承継期ですが、うまく取り組めた会社とそうでない会社があります。うまく取り組めない会社は「成功体験」が邪魔をします。実行のタイミングを逃すと、結果的に大きな病気にかかって手遅れになるケースが多いのです。従って、この戦略実現の難しさは会社存続の難しさと一致します。その意味からも、トップマネジメントのリーダーシップが非常に大切な戦略と言えます。

 

+ブランディングでトランスフォーメーション戦略を加速

 

プル型社会へのシフトで重要なことは、「+(プラス)ブランディング」という発想を持つことです。企業のブランドを確立すれば、他の企業とは明確な違いを示すことができます。プル型企業としてのブランドを構築すれば、企業イメージの向上につながり、顧客拡大・ファン拡大につながります。また、社内で働く人たちにも誇りとやりがいをもたらすため、顧客へ提供する商品・サービスのロイヤルティーや品質の向上につながります。

 

従って、トランスフォーメーション戦略を可視化し、社内外に発信するブランディング活動を忘れないことです。そのためには①2030年までのロードマップ、②新たな価値を生むバリューチェーン、③ビジョンブックへの展開、④ダイバーシティー&インクルージョンの推進、⑤事業ポートフォリオの最適化、⑥SDGsの全社戦略展開のような要素を含む「ブランディングMAP」を作成しながら、戦略ストーリーに一貫性を持たせ、ステークホルダーの「共感」を得ながら推進していくことが大切です。

 

最後に、会社を変身させる挑戦には「決断」というリーダーシップが不可欠です。「決断」と「決定」は違います。決定は情報がそろった中で決める行為ですが、決断とは、情報不足の中にあって決めなければならない経営行動です。

 

未来は不確実な情報だらけです。ただし、未来は創るためにあります。今日は昨日の続きであっても、明日という未来は今日の続きではないのです。だからこそ「決断」が必要になるのです。今、決断しなければ手遅れになり「ゆでガエル」になる可能性があります。「未来のあるべき姿」「その時は何を果たすべきか」を示すべきなのです。2019年は、皆さんの「決断」と「実行」のリーダーシップで「まるごと変身」に挑戦しましょう。

 

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Profile
若松 孝彦Takahiko Wakamatsu
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。
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