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【コラム】

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タナベコンサルティンググループ、タナベ経営の社長・若松が、現在の経営環境を踏まえ、企業の経営戦略に関する提言や今後の展望を発信します。
コラム2018.06.29

米国シリコンバレー企業視察リポート:若松 孝彦

2018年5月、タナベ経営代表取締役社長・若松孝彦が、米国シリコンバレーのテック系企業を中心に訪問した。今なおスタートアップ企業が日々生まれ、投資家が新しいアイデアを求めて集まるシリコンバレー。今回は視察企業の一部(Comet Labs、Microsoft、LinkedIn、Khan Academy)をご紹介したい。

 

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Comet Labs

まずは、サンフランシスコを拠点に、有望なスタートアップや技術に投資を行っているComet Labsの共同創業者であるAdam Kell氏の話を伺った。Comet Labs は2015年に設立されたベンチャーキャピタル/インキュベーターである。特に初期段階のAIロボティクス分野への投資を行っている。

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共同創業者のKell氏は、フォーブスが将来有望な30歳未満の30人を選んだ「30アンダー30」(製造業&エネルギー分野)に選出されたこともある


「これまでの技術が発展してきた歴史を見ても、新しい技術が台頭してくるときにはまずインフラが構築されます。それに合わせて新しいアプリケーションが出てくるという順番があると思います」とKell氏。


「インターネットもスマートフォンも同じ。AIも同じ順序(で発展していく)でしょう。そして、AIをサポートするインフラの発展自体が、これまでに比べてより広範にわたって行われると見ています。例えば、高速通信をサポートする5Gなどがインフラとして構築されています」(Kell氏)

「5Gの他に、インフラとしてはどのようなものが挙げられますか」という若松の問いに対して、「専用アプリのチップやセンサー、衛星打ち上げに絡んだ技術。基本的には物理的な環境をサポートするための、あらゆるインフラ技術を含みます」とKell氏。この用途に特定すれば、マシン間のコミュニケーションでは、ブロックチェーンが重要だという。

「インフラの分野では既存の企業が新たな分野としてスタートアップするのか。新たな企業が新たな分野としてスタートアップしていくのが多いのか」という問いに対しては、両社のミックスであるという。例えば、インテルは最近インフラとして使える技術を持っている3つの会社を買収し、新しい分野に備えている。同社のような規模の大きなプレーヤーが開発していくパターンが多いだろうと同氏はみている。

「クラウドコンピューティングもインフラの一つに挙げられますが、この分野は規模の経済がかなり有効に働くため、今後はスタートアップよりもアマゾン・グーグルなど既存の大きな企業が牛耳っていくでしょう」とKell氏。

また、技術の変遷の歴史を見ると、何らかの技術が生まれて、それが台頭した初期は数少ないプレーヤーが差別化を図り、収益を独占するが、(今のAI・ロボティクス分野では)比較的早い段階で技術が普遍化し、誰もが使えるようになってきているという。2013~14年にドローンの活用が始まったが、今は誰でも買えるようになっている。それほど、新技術が実用化・普遍化されるペースが速いのだという。

AI、ロボティクス分野は注目度が大きい分、資金も集まりやすい。「これから新たに台頭してくるインフラ技術は追い風になっていくでしょう」(Kell氏)


話題の自動化についてはどうか。製造現場でデジタル化を行う場合、必ず現場に「今は測定できていないけれど、測定することができれば役に立つと思うデータは何か」と聞くのだという。例えば生地を作るメーカーなら、生地の編み目の数を数えれば、糸の消費量や作業の量などを割り出すことができて便利だろう、といった意見が挙がる。


データの取得が終わったら、ネットワークにつなぐのが次の工程だ。すると、材料の残り具合などが分かる。そこまでデータが集まってくると、自動的に必要な材料をオーダーするということが3つ目のステップとなる。


自動化を進める時に難しいのが、データを集めただけではインフラの構築に費用がかかること。例えば自動運転車は1分間に何ギガバイトという情報を生成するため、データだけがあふれると扱いきれなくなり、余分な作業が発生する。「そうなると次のレイヤーを作ってネットワークでつなぐことが必要ですが、価値が生まれるのは自動化できた段階。そこにたどり着くまでには時間もお金もかかるので、結果をすぐに求める大企業にとっては取り組むのが難しいかもしれません」とKell氏。


Comet Labsが過去に支援した事例をいくつか紹介したい。

3次元で正確に自分の位置が把握できる技術を持つ高性能のドローン。

高感度の指先センサー。温度センサーも搭載しており、どれだけ熱を吸収するかを調べることによって、触れた素材の特徴がわかるほどの性能だという。これを生かして、まるで本革のような手触りのフェイクレザーを開発したりしている。


デジタル式電動工具(カッター)。きれいな円などの図形を、フリーハンドで切り取るスキルがなくてもカットできる。切りたいイメージを紙にプリントしておくと、工具のカメラがそれを読み取る。あとはガイド通りにマシンを動かせば手軽に美しいカットが実現する。

あらゆる音を聞き分けられるセンサー。工場などで発生する音を聞き分けることでエラーを見分けることができる。現場で機械の音を聞いたり、織機の編み目の数を音で数えたりといった用途が考えられる。

既存の衛星地上基地(アンテナ)をネットワークでつなぎ、アンテナを自前で用意しなくても衛星通信を使えるようにしたシステム。アンテナを独自に建てるのには多くの費用がかかるが、このシステムを使うと世界の30以上のアンテナを安価に使用することができる。アンテナを貸し出す側は、現在使用していない帯域だけを開放するため、有効利用できる。

 

Microsoft

出迎えてくれたのはテクニカル・ソリューションズ・プロフェッショナルのGarth Honhart氏。サポートとサービスの両方に携わっている。

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サポートとサービスの掛け持ちのような立ち位置というHonhart氏


「Microsoftは商品戦略・サービス戦略以外にどういったところに力を入れているのか」という若松の問いに対し、「クラウドに力を入れています。Surfaceのようなデバイスも作っていますが、どちらかというと他のメーカーがWindowsをサポートする商品を作るときに、最高のデバイスができるようにプッシュしています」とHonhart氏。

職場でGoogleやサイボウズなどが提供するグループウエアを使っている企業も多いだろう。Microsoftの提供する『Microsoft Teams』も、従業員間のチームワークを高める機能が多数盛り込まれている。チームチャットやオンライン会議、電話や顧客情報の共有管理などだ。手軽にチームでコミュニケーションを取れて便利だが、Honhart氏は「ハッシュタグ以上の機能を持っているシステムを提供する時は、(システムの使い方の)トレーニングを用意する方がよいと考えています。そうしないと、システムとして提供しているのに、使ってもらえないということが発生するからです。使ってもらうことが、一番大切ですから」と強調する。

ユーザーのシステム利用を助けるため、同社ではCustomer Success Manager(CSM:カスタマー・サクセス・マネジャー)と呼ばれる職務を2017年より設けた。法人向けのサポートを行う部門で、企業のビジネスゴールを支援・推進するサービスの活用方法を提案するだけでなく、その後も定期的にクラウドサービスの利活用状況を各種レポートに基づき定量的に検証することで、カスタマーの最終的なゴール達成を支援するというものだ。

社風について、Satya Nadella氏がCEOに就任した2014年以降、「失敗してもよい。素早くそこから学ぶ」という風土に変わったそうだ。また、同社はこのところ米国で広まりを見せている「NoRating(評価をしない)」という人事評価制度を採用しているので、失敗をしたからといってそれが即座に個人の評価に反映されることはないという。

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