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2018.04.27

ファンが日本を救う!? ~アイドル市場、20%増と好調~

「オタク市場」が元気だ。矢野経済研究所によ5年間でると、2016年度の市場規模は5450億円(前年度比5.3%増)、17年度には5683億円(同4.3%増)へ拡大するという。ただ、同社の集計対象は主要15分野。他のジャンルを合わせると「3兆円に上る」(原田曜平著『新・オタク経済』朝日新聞出版)との指摘もある。

 

一昔前はネガティブなイメージもあったオタクだが、一般ユーザー層からの流入が進み、現在は社交的で行動的な“ライトなオタク”も多い。同社が11年に推計したオタク人口は2285万人、日本人の5人に1人はオタクだそうだ。日本経済に与える影響は小さくない。

 

ますます裾野が広がるオタク市場を支えるジャンルは何だろうか。16年度の市場を分野別に見ると、最も金額が大きいのは「アイドル」の1870億円。前年度に比べ20.7%増と伸びも大きい。17年度は2000億円台を突破(2100億円)するとみられ、5年間で約3倍と急激な成長ぶりである。(【図表】)

 

 

※2017年度は予測値 出所:矢野経済研究所

 

 

アイドルが動けば大勢のファンも動く。公演入場料、宿泊交通費、飲食費やグッズ販売など、その経済効果は大きい。例えば、15年9月に宮城県で開催されたアイドルグループ「嵐」の復興支援コンサート(4日間)は93億円(宮城県試算)、16年6月に新潟県で行われた「AKB48選抜総選挙」は1日で24億円(関西大学・宮本勝浩名誉教授による試算)の経済効果があったとされる。

 

アイドルとファンの関係は、ファンづくりに悩む企業にとって学ぶ点が多い。例えば、「会いに行けるアイドル」というコンセプトで始まったAKB48。“身近”な彼女らは小劇場公演と握手会でファンを取り込み、国民的アイドルに成長した。

 

ファンはコミュニケーションを重ねるうち、自分がアイドルを育てている感覚になり、一緒に応援したい仲間を増やしていった。最近はインターネットのライブ動画配信で、ファンと双方向コミュニケーションを行うアイドルも多い。ファンづくりのポイントは、「距離感の近さ」と「自分が応援しないと」という感覚の醸成だ。

 

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