Vol.14 魅力ある職場であるために
悩みの源は人間関係
人が辞めない職場づくりをテーマに1年余り連載を続けてまいりましたが、今号で最終回です。最後は「働きやすい職場の本質」について、お伝えしたいと思います。
私は、20年間さまざまな企業内の相談室で、社員の方々の悩みを伺ってきました。相談室を訪れる方の訴えは多岐にわたります。多くの場合、「体調が悪い」「やる気が出ない」「仕事が向かない」「会社を辞めたい」ということから話が始まりますが、よくよく話を聞いていくと、最終的に「身近な人間関係の軋轢」へたどり着くケースがほとんどです。私の感覚だと、9割方と言っても過言ではありません。
中でも上司との関係の悩みが多く、次に、同僚・部下・取引先との関係の悩みといった具合です。最近は、パワーハラスメントを受けていると訴えるケースも増えてきました。「パワハラ防止法」が施行された2020年6月以降、ますますこの傾向は強まっています。しかし、そのうちの全てがパワハラ案件ではなく、コミュニケーションの行き違いによるトラブルであることが多いです。
たとえ同じ言葉であっても、成長を促すために言われたのか、単に罵倒されたのかでは、受け止める側の感じ方に大きな違いが出ます。誰が見ても明らかにハラスメントになるケースは除き、結局は何をしたか・されたかではなく、相手をどう思っているかに尽きる部分があります。それを「信頼関係がないから」と一言で言ってしまえば簡単ですが、では一体どうすれば、信頼を育むことができるでしょうか。ポイントをお伝えします。