Vol.3 マネジメントが楽になる考え方
捉え方の傾向を知る
誰にでも思考の癖があります。「考え方の特徴」とも言えるのですが、この傾向を自分自身で自覚することが、マネジメントには重要です。
例えば、誰かに何かを指摘されたとき、「失礼だ」と感じて腹が立つこともあれば、「よく見ているな」と、あえて伝えてくれたことを好意的に捉えることもあると思います。指摘をした相手や内容にもよりますが、この「捉え方」が、気持ちや言動に大きく影響します。まず、この傾向を自分で知ることが大切です。自分を理解することは、他人を理解することにも大いに役立ちます。
自分の性格について自己紹介をしてくださいと言われたら、ご自身をどのように紹介するでしょうか。少し考えてみてください。長所と短所、どちらを中心に話しますか?
長所を中心に話す方はプラス思考、短所を中心に話される方はマイナス思考の傾向があります。「運がいいと思っている人ほど成功しやすい」といったこともよく言われますが、前向きな気持ちは良いパフォーマンスにつながり、力を発揮しやすくなります。同じ現象を目の前にしたときの捉え方が違うからです。
コップに水が半分入っているという状態を見て、「まだ半分ある」と捉える人と「もう半分しかない」と捉える人がいます。
前者は、ゆとりと安心、後者は焦りと不安を生みやすくなります。もちろん経営者には、慎重さやリスク管理が大切であり、後者の感覚も大切ではあるのですが、前に進むには、失敗を恐れるよりも失敗を乗り越えられる感覚が大切です。
それを確立するための方法の一つとして、「リフレーミング」(枠組みを変える)という考え方があります。例えば、「せっかち」と聞くと、落ち着きがないマイナスなイメージを持ちやすいですが、「機転が利く」「行動が迅速」と表現すると、プラスのイメージになります。
物事には、良い面も悪い面もあります。違う角度から、より良い捉え方をする意識があると、自分自身の自信につながり、ゆとりが生まれます。
部下指導においても、リフレーミングは有効です。人は、自ら変わろうとしない限り変わることはなく、他者が誰かを変えることはできません。部下の短所だと思っていたことを、リフレーミングによって長所と捉えられれば、相手が変わらなくても相手の良いところを見つけられます。すると、部下はあなたからの承認を実感することができるため、自信を持ち、やる気が育まれ、それに伴って行動変容する可能性が高くなるのです。
リフレーミングによって、まずは自分への見方を振り返り、さらには、他者への見方を変えていきましょう。