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2017.09.29

特集1:「福利厚生」を考える

2017年10月号

 

 

“採用氷河期”を乗り切る鍵は「福利厚生の充実」

 

労働需給がさらに逼迫している。厚生労働省が発表した2017年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍とバブル期の水準を上回り、1974年2月(1.53倍)以来43年5カ月ぶりの高水準となった。これは100人の求職者に対し152件の求人があることを示す。(【図表1】)

 

特に、中小企業では新卒者の確保が厳しさを増している。リクルートワークス研究所の「第34回ワークス大卒求人倍率調査」によると、2018年卒(大卒)の求人倍率は従業員規模300人未満の企業で6.45倍(求職者100人に対して645件の求人)。求職者に圧倒的有利な超売り手市場となっており、就職氷河期ならぬ“採用氷河期”の様相を呈している。

 

こうした中、人材採用で新たな取り組みを始める企業が増えている。帝国データバンクの調べによると、72.2%(調査対象の約1万社中7281社)の企業が人材採用で新たな取り組みを行っているという。その取り組み内容を見ると(複数回答)、選択率が最も高かったのは「賃金体系の見直し」(46.6%)で、次いで「就業制度の充実」(23.5%)、「採用情報の発信」(21.3%)、「福利厚生制度の充実」(20.9%)などが、ほぼ横並びで続く。(【図表2】)

 

このうち目を引くのが福利厚生への取り組みだ。「福利厚生施設・設備の充実」(10位)を合わせると3割近い(28.0%)企業が福利厚生の充実を図っていることになる。こうした背景には、就活生が企業を選ぶ条件として福利厚生を重視していることがある。

 

マイナビが18年卒業予定の学生に行った調査結果によると、企業を選ぶ際に注目するポイントとして「福利厚生制度の充実」(30.8%)が3番目に多く、「給与や賞与が高い」(20.9%)を上回った。(【図表3】)

 

福利厚生制度は、会社が社員のことをどれだけ大切に思っているかが表れる。就活生にとって、福利厚生の充実度合いが「働きやすさ」を測る目安となっているようだ。

 

 

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