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2016.12.22

特集1:チームスピリット

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2017年1月号

 

 

「“いわゆる正社員”は今後も主流」の回答が約8割

 

「2018年問題」まで1年、限定正社員への対応が課題

 

民間企業で働く労働者のうち、フルタイム・無期雇用・直接雇用で働く人を「正社員」と呼ぶが、実は日本と韓国のみに存在する区分だ(欧米には正社員の概念がない)。正社員の定義を定めた法律はなく、パート・アルバイトや派遣社員などの「有期雇用労働者(非正社員)」以外を指す労務管理上の呼称である。

 

その正社員は、大きく分けて2つある。「多様な正社員」と「いわゆる正社員」だ。多様な正社員とは、安倍政権がワーク・ライフ・バランスの推進に向け成長戦略で打ち出した雇用形態で、職務・勤務地・勤務時間などを限定した正社員(限定正社員)をいう。

 

一方、いわゆる正社員は異動や転勤、残業など職務・勤務地・勤務時間が限定されない従来型の正社員(無限定正社員)だ。“いわゆる”とは、厚生労働省が限定正社員と分けるために付けたものである。

 

このほど日本生産性本部が上場企業133社の人事労務担当者に行った調査結果によると、「いわゆる正社員は今後も主流」と答えた企業が約8割(82.0%)を占めた(【図表2】)。利点としては(3つまで回答)、「人材の柔軟な異動・配置が可能」や「長期的視点に立った人材の育成ができる」などが多い。半面、限定正社員制度の導入率は「勤務地限定制度」が30.1%、「短時間正社員制度」も16.5%にとどまった。

 

2012年に成立した改正労働契約法で「無期転換ルール」が導入され、企業は有期労働契約(パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員など)が反復更新されて通算5年を超えたとき、労働者から申し出があれば無期労働契約に転換しなければならなくなった※。2013年4月以降に契約した有期雇用労働者に適用されるため、5年後の18年4月から無期転換が本格的に始まる。定年まで継続雇用する労働者が大量に増加する「2018年問題」まで1年余りに迫る中、その受け皿として限定正社員の活用が想定されている。

 

※ 定年後に継続雇用される有期雇用労働者(嘱託社員など)については、都道府県労働局長の認定を受けることで無期転換申込権が発生しない特例がある

 

日本生産性本部の調査結果では、勤務地限定制度を導入する企業の7割強(73.3%)が、「非正社員を勤務地限定正社員に登用する仕組みがある」と答えた。同本部は、「勤務地限定制度が非正社員の正社員登用の効果的な制度になり得る」と指摘している。

 

 

【図表2】「いわゆる正社員」は今後も主流の働き方だと思うか(上場企業133 社)

【図表2】「いわゆる正社員」は今後も主流の働き方だと思うか(上場企業133社)

 

 

 

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