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2016.11.30

特集1:カラダ・クラシ・ココロの健康

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2016年12月号

 

 

好調続くスポーツシューズ市場

 

2016年は3733.5億円(前年比5.9%増)の予測

 

2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、スポーツシューズの国内市場が好調に推移している。

 

矢野経済研究所がまとめた調査結果によると、2015年のスポーツシューズ国内市場規模はメーカー出荷金額ベースで3524億6000万円(前年比6.5%増)、数量ベースは8914万足(同4.1%増)と、いずれも堅調な伸びを示している。(【図表1】)

 

 

【図表1】スポーツシューズ国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)の推移     (単位:百万円、カッコ内は前年比%、▲は減)

【図表1】スポーツシューズ国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)の推移
    (単位:百万円、カッコ内は前年比%、▲は減)

 

 

金額ベースをカテゴリー別に見ると、市場の約3割を占める「多目的シューズ(一般カジュアルスニーカー)」が1098億9000万円(15.2%増)と大幅なプラス成長となり、大台の1000億円を突破した。

 

同社は要因について、スニーカーブームと訪日外国人客による需要に加え、2015年から16年にかけて暖冬だったことから、重厚感のあるブーツスタイルが敬遠され、カジュアルスニーカーに需要が流れたとみている。円安の影響で輸入コストが上昇し、メーカー希望小売価格を引き上げる動きが目立ったことも、出荷金額が伸びる要因になったという。

 

「ランニングシューズ」も9.5%増の674億1000万円と好調だった。全国各地で開催されているマラソン大会が市場の活性化につながった。また、児童・幼児向けの「キッズ・インファントシューズ」も14.4%増の180億6000万円と2桁の伸びを示した。いわゆる「6ポケット」(両親・両祖父母の合計6人の財布)の影響で好調だった。

 

同社は2016年の見通しについて、金額ベースで5.9%増の3733億5000万円、数量ベースで4.3%増の9296万足と予想する。スニーカーブームとランニングブームが続き、両カテゴリーが市場全体をけん引するとみている。

 

 

過労死ライン「残業80時間以上」の企業が2割超え

 

最も割合が高いのは「情報通信業」

 

厚生労働省が2016年10月7日、「平成28年版過労死等防止対策白書」をまとめた。これは過労死の実態や防止策の実施状況などを報告する、初の白書(恐らく世界初だろう)である。

 

白書によると、企業1743社に時間外労働時間(残業時間)の状況について尋ねたところ、正規雇用従業員1人当たりの1カ月の平均残業時間が45時間を超えていると答えた企業は1.6%にすぎなかった。

 

だが、最も残業時間が長い従業員の月間残業時間が、過労死ラインとされる「80時間」を超えている企業は2割以上(22.7%)に上っていた。80時間超(月20日出勤の場合、1日当たり4時間以上の残業)と答えた企業の割合が最も高い業種は「情報通信業」(44.4%)。次いで「学術研究、専門・技術サービス業」(40.5%)、「運輸業、郵便業」(38.4%)などが続く。(【図表2】)

 

 

【図表2】1 カ月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員の月間時間外労働時間の割合(業種別、主要6 業種)

【図表2】1 カ月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員の月間時間外労働時間の割合(業種別、主要6 業種)

 

 

残業が発生する理由については、企業調査、労働者調査(1万9583人が回答)ともに、「業務量が多い」「人員が不足している」「業務の繁閑の差が大きい」などが多く挙がっている。発生理由(労働者調査)を業種別に見ると、「人員が不足」は「宿泊業、飲食サービス業」が最多。「業務の繁閑」「予定外の仕事が突発的に発生」「締め切りや納期が短い」は、いずれも「学術研究、専門・技術サービス業」が最も多かった。

 

厚生労働省は2016年春から、労働基準監督署の立ち入り調査の基準を大幅に厳格化し、1カ月の残業が「80時間を超える労働者が1人でもいると疑われる場合」は立ち入り調査を実施すると決めた。また政府は現在、「36(サブロク)協定」の運用見直しに向け、残業時間に一定の上限を設ける方向で検討に入っている。「中小企業だから」という理由で大目に見てもらえる時代は過ぎた。経営者には、本腰を入れた残業撲滅に向けての取り組みが求められよう。

 

 

 

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