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2016.09.30

特集1:観光・ツーリズム

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2016年10月号

 

 

訪日外客数が2016年7月累計で1400万人超え
2014年(年間値)を上回る

 

国際的な政情不安や円高の進展、熊本地震の発生による下押しが懸念されたインバウンド(訪日外国人旅行)だが、現在(2016年8月時点)のところ大きな影響は出ていない。

 

日本政府観光局(JNTO)が発表した2016年上半期(1~6月)の訪日外客数累計(推計値)は、前年同期比28.2%増の1171万3800人と半期ベースで過去最高となり、初めて半年で1000万人の大台を超えた。

 

また年間を通じて最も訪日外客数が多い7月は、前年同月比19.7%増の229万6500人と、単月の最高記録だった2016年4月(208万1697人)を上回り過去最高となった。1~7月累計値は約1401万人(前年同期比26.7%増)に達し(【図表2】)、2014年の年間値(約1341万人)を上回った。このペースが続けば、11月には2000万人を突破する勢いだ。

 

 

【図表2】訪日外客数の推移

【図表2】訪日外客数の推移

 

 

1~7月累計値を国・地域別に見ると、最も多かったのは「中国」(前年同期比38.2%増の380万7900人)。中国は4月から3カ月連続で50万人超と好調が続いていたが、7月にクルーズ船の寄港数の大幅増による押し上げ効果があり、単月で初めて70万人を超えた。

 

次いで「韓国」(同30.8%増の282万9900人)、「台湾」(18.5%増の255万2800人)、「香港」(23.8%増の105万2800人)などが続く。韓国は熊本地震の影響が最も懸念された市場だが、外国旅行需要が好調なことに加え、熊本地震で運休していた仁川-福岡線の再開や新規路線の就航、訪日プロモーションの実施などから堅調に推移した。

 

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算によると、2016年の訪日外客数は2428万人(前年比23.0%増)、17年には2594万人(同6.8%増)と3000万人に迫る見通しだ。ただ、直近の訪日外客数の前年同月比の推移を見ると、伸び幅が鈍化している。世界経済の減速や円高の進展が背景とみられるが、現状のペースで推移すると政府目標である2020年の4000万人達成は厳しくなる。

 

 

 

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