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2016.06.30

特集1:次世代体制づくり

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2016年7月号

 

 

中小企業経営者の2人に1人が「自分の代で廃業」

 

日本政策金融公庫(以降、日本公庫)が実施したインターネット調査で、中小企業経営者(4104人)の2人に1人が「自分の代で廃業」を予定していることが分かった。それによると、後継者が決まっている(後継者本人も承諾)企業は12.4%にとどまった。事業承継の意向はあるが後継者が決まっていない「後継者未定企業」は21.8%、経営者本人が若く後継者を決める必要がない「時期尚早企業」は15.9%だった。それに対し「廃業予定企業」は50%と半数を占めた。

 

ただ、廃業予定企業の廃業理由を見ると「当初から自分の代かぎりでやめようと考えていた」(38.2%)が最も多く、次いで「事業に将来性がない」(27.9%)が続く。「子どもに継ぐ意思がない」「子どもがいない」「適当な後継者が見つからない」など、“後継者難”を理由とする廃業は3割に満たなかった。

 

日本公庫によると、廃業予定企業の多くは「従業員が少ない」「金融機関からの借入金がない」「業績や将来の見通しが暗い」など、廃業を容易に決断できる環境にあると指摘している。なお、廃業を予定している経営者の廃業予定時期の平均年齢は71.1歳だった。

 

廃業予定企業に、廃業時に問題となりそうなことを尋ねたところ、「特に問題はない」(44.6%)が最も多く、次いで「やめた後の生活費を確保すること」(32%)、「自分の生きがいがなくなること」(18.4%)が続く。取引先や従業員、消費者、地元に迷惑が掛かると考えている企業は少なかった。

 

一方、後継者未定企業に企業売却の意向を尋ねたところ、「考えたことがない」(41.1%)が最多。次いで「売却してまで事業を継続させたいとは思わない」(28.7%)が多かった。「現在、売却を具体的に検討している」は3.3%にすぎなかったが、「事業を継続させるためなら売却してもよい」が26.9%と3割近くあり、事業譲渡に積極的な企業も少なくない。(【図表3】)

 

従業員規模別に見ると、20~49人の企業では売却に積極的な姿勢を見せる割合が高く、「売却してまで事業を継続させたいとは思わない」企業は約15%にすぎなかった。ただ、50~299人の企業では「具体的に検討している」はゼロ、「売却してもよい」も23.6%にとどまり、事業譲渡に消極的な姿勢が目立った。

 

 

【図表3】企業の売却に関する意識(後継者未定企業)

【図表3】企業の売却に関する意識(後継者未定企業)

 

 

 

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