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2016.01.29

特集1:課題マーケット

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国内バイオ・ヘルスケアベンチャー企業数が600社を突破

 

再生医療関連の研究開発が活発に

 

矢野経済研究所がまとめた調査結果によると、2015年7月現在で国内におけるバイオ・ヘルスケアベンチャー企業数が607社となり、調査を開始した2004年(498社)から増加傾向にあることが分かった。(【図表2】)

 

 

【図表2】国内のバイオ・ヘルスケアベンチャー企業数の推移

【図表2】国内のバイオ・ヘルスケアベンチャー企業数の推移

 

 

同社は主に創薬や研究用試薬などの分野で、バイオやヘルスケアに関連した技術をもとに設立されたベンチャー企業を対象に集計した(2015年7月現在、1990年以前に設立された企業を除く)。現在、国内のバイオ・ヘルスケアベンチャーが有する技術は、大手製薬企業を中心に業務提携・技術導入の対象として関心が集まっている。

 

内訳を事業分野別にみると(上位6分野)、最も企業数が多いのは「創薬」の148社で全体の2割超(24.4%)を占めた。次いで「DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、たんぱく質の解析受託」の110社(18.1%)、「培養液・培地・研究用試薬」の88社(14.5%)などが続く(【図表3】)。これ以外にも環境関連やバイオインフォマティクス(生命情報工学)、再生医療など幅広い分野で企業参入がみられたという。

 

 

【図表3】事業分野別参入企業数     ( 2015 年7月現在、上位6 分野)

【図表3】事業分野別参入企業数 ( 2015 年7月現在、上位6 分野)

 

 

特に再生医療関連の研究開発については、iPS細胞のノーベル賞受賞(2012年)を機に「再生医療等安全性確保法」の施行、日本医療研究開発機構(AMED)の発足などが国を挙げて推進され、市場は活発化している。また近年は投資環境の改善を受け、関連ベンチャー企業の大手との提携や上場が続いており、ベンチャー企業の存在感が高まりつつある。同社は、再生医療製品が一般に普及するにはまだ時間を要するものの、「将来的には大きな市場を確立する」とみている。

 

現在、国内の大手製薬企業はベンチャーや大学を対象とした技術提携・技術公募プログラムを採用し、共同研究の動きを加速させている。これを受けて医学・薬学分野だけでなく、化学・工学分野の技術を有する企業の参入も進んでいる。国の後押しとマーケットの関心の高まりを背景に、バイオ・ヘルスケアベンチャーは事業展開の好機を迎えている。

 

 

 

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