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コラム2020.05.29

新型コロナ感染拡大で世界GDPが約963兆円減少(2020~21年)


2020年6月号

 

 

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で、世界経済は1929~32年の大恐慌以来となる不況に陥る見込みだ。IMF(国際通貨基金)は4月14日にまとめた世界経済の見通しで、2020年の世界経済成長率をマイナス3%(日本はマイナス5.2%)に大きく下方修正した(【図表1】)。IMFは「大恐慌以来最悪の景気後退となる」と述べ、2020~21年の世界GDPの損失は日本とドイツのGDP合計を上回る約9兆ドル(約963兆円、1ドル=107円で換算)に達する可能性があるという。

 

 

【図表1】IMF世界経済見通し(▲は減)

出典:国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し(WEO)による最新の成長率予測」(2020年4月14日)

 

 

WTO(世界貿易機関)も4月8日に世界貿易見通しを発表し、新型コロナ禍の影響で2020年の世界の財貿易量が最大で前年比31.9%落ち込むと予測(【図表2】)。ほぼ全ての地域で2桁台の減少に見舞われ、特に北米(最大で40.9%減)とアジア(同36.2%減)が輸出で大きな打撃を受ける見込みだ。

 

 

【図表2】世界財貿易予測(単位:%、▲は減)

出典:世界貿易機関(WTO)・プレスリリース(2020年4月8日)

 

 

日本では、政府が4月16日に「緊急事態宣言」の対象区域を全都道府県へ拡大した。りそな総合研究所の試算によると、外出自粛や施設休業の要請に伴う全国の消費減少額(3月~4月)は約8.4兆円に上る(【図表3】)。これに宣言の期間延長の影響分を加えると10兆円を上回るとみられる。

 

 

【図表3】緊急事態宣言前後の消費の減少額(単位:億円)

※四捨五入の関係上、積み上げた数値と合計値は一致しない
出典:りそな総合研究所「ショートコメントvol.166」(2020年4月9日)

 

 

一方、新型コロナの感染拡大と決算期(2~3月期)が重なったため、多数の企業で2019年度決算の作成に支障が出た模様だ。日本CFO協会が企業のCFO(最高財務責任者)や経理・財務部門の幹部に行った調査によると、75%の企業が「新型コロナウイルスが決算に影響した」と回答。「海外拠点・子会社からのデータ収集の遅延」「連結決算の遅延、監査対応の遅延」や、「業績悪化・来期業績予測」「有価証券報告書記載のリスク情報の検討」「リモート対応による認識の齟齬」などの声が上がった。(【図表4】)

 

 

【図表4】新型コロナウイルスによる今後の業務に影響はあるか

出典:日本CFO協会「新型コロナウイルスによる経理 財務業務への影響に関する調査」(2020年4月6日)

 

 

帝国データバンクの調べによると、新型コロナの影響で業績を下方修正した上場企業数は326社(4月28日時点)、減収額は累計約2兆9089億3600万円(影響額未定を除く)に達した。修正した社数が最も多い業種は「製造業」(103社)、修正額が最多だったのも製造業(1兆2056億7400万円)だった。(【図表5】)

 

 

【図表5】新型コロナウイルスの影響による上場企業の下方修正額
(業種別、2020年4月28日時点)

出典:帝国データバンク「新型コロナウイルスの影響による上場企業の業績修正動向調査」(2020年4月30日)

 

 

東京商工リサーチによると、新型コロナ関連の企業の経営破綻(5月1日時点)は全国で114件(倒産84件、弁護士一任・準備中30件)に達し、35都道府県に広がっている。今後も、インバウンド消失と外出自粛の影響が直撃している宿泊業・飲食業を中心に、学校給食やイベント関連の業種などで倒産が増加するとみられる。

 

感染拡大の終息が見えない中、企業は公的機関やメインバンクと相談し当面の資金繰りにめどを付けるとともに、実績がある社外CFOの招聘や、コンサルティング会社のFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス:財務専門の助言サービス)を受けるなど戦略面の手当ても行う必要がある。

 

 

 

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