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2015.12.28

特集1:ものづくりの復権

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2016年1月号
 
中国経済鈍化に、企業の4社に1社が「業績に悪影響」
 
2015年の「チャイナリスク倒産」、前年同期比1.5倍で推移
 
中国経済の減速が鮮明になってきた。OECD(経済協力開発機構)が2015年11月にまとめた世界経済の見通しによると、中国の実質GDP(国内総生産)成長率は2015年に6.8%へ減速し、2017年には6.2%まで低下するという。
 
これに伴い、日本企業の間で「チャイナリスク」への懸念が強まっている。帝国データバンクの調査結果(有効回答企業数1万752社、2015年10月)によると、企業の4社に1社(25.4%)が中国の成長鈍化により「自  社の業績が悪影響を受ける」と見込んでいる。業界別にみると「製造」(33.8%)が最多で、「運輸・倉庫」(30.7%)、「卸売」(30.0%)などが続く。(【図表1】参照)
 
このチャイナリスクは、既に顕在化しつつある。同社の調べによると、チャイナリスクを要因とした企業倒産件数は2015年1~9月累計で59件。2014年の年間件数(52件)を上回り、前年同期(2014年1~9月の39件)に比べ1.5倍のペースで推移しているという。
 
2014年1月~15年9月累計のチャイナリスク倒産件数(111件)を要因別にみると、現地従業員の賃金上昇や為替変動による「コスト増」が59件と過半数を占め最多だった。次いで「中国取引先の業績悪化」(19件)、「品質問題」(15件)などが続く。「中国国内への販売減少」による倒産は8件にすぎなかったが、今後は中国経済の減速に伴い増加していくとみられている。
 
累計倒産件数を業種別にみると、最も多いのは「卸売業」(65件)で全体の過半数(58.6%)を占めた。うち35件は繊維関連の卸売業だった。「製造業」は31件と2番目に多いが、卸売業の半数以下にとどまっている。
 
とはいえ、同社によると中国進出企業1万3256社のうち、製造業は5693社と半数近く(42.9%)を占める。価格競争力の強化を狙い中国へ生産拠点を移転した中小メーカーや、中国企業に製造委託しているファブレス、中国向けに販売している卸売業などを中心に、チャイナリスク倒産が今後増加する恐れがある。
 
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