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マーケット・スタッツ

最新の調査データから、各業界や分野、市場に関する動向・トレンドを分析。企業が進むべき方向性を示します。
2017.12.26

特集1:価値訴求

2018年1月号

 

 

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小売店の8割「商品の売れ行きは“写真映え”が左右する」

 

 

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「人は形にして見せてもらうまで、何が欲しいか分からないものだ」(スティーブ・ジョブズ)。

 

話で聞くだけでは欲しいと思わないが、見たら欲しくなる。自慢までされると余計に欲しくなってしまう。今、SNSで写真映えするかどうかによって商品購入を決める「フォトジェニック消費」が全国的に広がりを見せているそうだ。

 

小売店向け卸サイトを運営するラクーンが2017年9月に発表した調査結果によると、写真映え(フォトジェニック)が「商品の売れ行きに影響を与えている」と感じている小売店が、回答者全体(全国小売店472社)の8割を超えたという(【図表1】)。また、写真映えする明るい色や模様を持つ商品、思わず写真を撮ってSNSに投稿したくなる商品など、SNSの写真を参考に仕入れを行ったことがある小売店が約4割(【図表2】)に上った。SNSで投稿される写真は、仕入れの情報源としても利用されている。

 

写真共有サービスの「インスタグラム」が発表したデータによると、月1回以上利用した月間アクティブユーザー数(MAU)は世界で8億人、このうち毎日利用するデイリーアクティブユーザー数(DAU)は5億人という。日本でもユーザー数が急激に増えており、2017年8月時点で1700万人を突破(ニールセン デジタル調べ)。直近1年間ではツイッターやフェイスブックの増加率を大きく上回っている。(【図表3】)

 

もはやSNSは無視することが難しいメディアだ。最近はグーグルで検索する前に、まずSNSで検索して情報を集める人も多い。写真映りが良い商品ほどよく売れるのもうなずける。どの色や形、背景、アングルが写真映えするのか。そんなフォトグラファーのような視点が売る側に求められている。

 

現在、企業の販売・マーケティング戦略は、自社製品・サービスに興味・関心を持つ顧客を「いかに見つけるか」ではなく、自社の存在を顧客から「いかに見つけてもらうか」へ移りつつある。BtoB(企業間取引)企業の場合「SNS=消費財」とのイメージが強く、インスタグラムやツイッターなどの活用に無関心なところは多いが、自社を顧客に発見してもらうツールとして、SNSを大いに活用したい。

 

例えば、ニコニコと笑う社員の写真を多く掲載する。楽しげな笑顔にひかれて自社に興味を持つ人もいるだろう。自社製品のスタイリッシュな写真を投稿すれば、「これは何の機械だ」と注目が集まるだろう。知名度の高い大手顧客、または意外な商品製造で活躍する自社製品を紹介する。「え!そうなの?」とクチコミが広がるかもしれない。

 

SNSの活用は、製品名や企業名の周知・拡散に有効だ。新卒採用においても学生からの応募を増やせるメリットがある。

 

SNSで自社の魅力を発信しない企業は、社会や顧客から徐々に忘れられ、やがて“SOS”を発信することになるかもしれない。

 

 

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