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【コラム】

21世紀のラグジュアリー論 イノベーションの新しい地平

ミラノ在住のビジネスプランナー安西洋之氏による連載。テクノロジーだけではなく、歴史や文学、地理、哲学、倫理が主導する21世紀の「新しいラグジュアリー」について考察しています。
コラム2020.05.29

Vol.8 ラグジュアリー戦略は仕組みで勝負


2020年6月号

 

 

欧州のラグジュアリーが強い理由の一つは、「ラグジュアリー分野が成立する仕組み」である。単独の企業や団体が個別の製品・サービスだけで勝負していない点に、日本の行政や企業が何を構想していけばよいかのヒントがある。

 

 

国を越えた連携が業界に潤いをもたらす

 

2010年に設立された、欧州文化・創造産業連盟(European Cultural and Creative Industries Alliance:以降、ECCIA)という団体がある。フランス、イタリア、英国、ドイツ、スペインの5カ国で「高級ブランド」と称される企業・団体が連携し、欧州委員会(EC)へのロビー活動などを行っている。

 

設立を主導したのは、この種の団体では最も長い歴史を持つフランスのコルベール委員会、イタリアのアルタガンマ財団、英国のワルポールだ。

 

ECCIAは600以上の企業や組織で構成されており、その中心は中小企業だ。現在の活動優先事項は「ハイエンドのeコマースの開発」「知的財産権による創造性の保護と促進」「欧州におけるノウハウやスキルのプロモーション」「旅を通じた欧州の魅力のプロモーション」「市場への公平なアクセスに向けた権利擁護」である。

 

このECCIAと米国のベイン・アンド・カンパニーが共同発表したリポート、「ハイエンド文化・クリエイティブセクターの欧州経済への貢献」(2020年1月発表)によれば、欧州のハイエンドとラグジュアリービジネスの分野は、2018年ベースで欧州GDP(国内総生産)の4%、欧州輸出額の10%を占めたという。雇用者数は210万人で、2014年からの4年間で新しく雇用した人数は約30万人に上る。

 

第一に強調しなければならないのは、GDPに占める割合から見て、EUにとってラグジュアリービジネスが極めて重要であるだけでなく、世界シェアが7割を超えているという点だ。マス市場のビジネスとは一線を画す、圧倒的なリーダーシップである。

 

 

 

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