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【コラム】

21世紀のラグジュアリー論 イノベーションの新しい地平

ミラノ在住のビジネスプランナー安西洋之氏による連載。テクノロジーだけではなく、歴史や文学、地理、哲学、倫理が主導する21世紀の「新しいラグジュアリー」について考察しています。
コラム2020.01.31

Vol.4 高品質にこだわって市場開拓の道を探る


2020年2月号

 

 

2019年11月25日、LVMH(エルヴェエムアッシュモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が、ティファニーを約1兆7600億円で買収する合意を取り付けた。高級ブランドが一極集中しているとメディアは報じるが、 LVMHがラグジュアリーの全てではない。大きなグループにはまりきらないラグジュアリーの在り方を探る余地はあるはずだ。そこに本連載の意義がある。

 

 

ラグジュアリービジネスを大学で学べるようになった

 

20年ほど前から、フランスやイタリアの大学で、修士課程のラグジュアリービジネスのコースがスタートした。世界各国からやって来る学生はMBAの講座や特別コースなど、さまざまなカリキュラムから学ぶ。

 

今回はミラノ工科大学で教壇に立つ、アレッサンドロ・ブルン氏にインタビューをした。同大学はおよそ10年前からラグジュアリーマネジメントのコースを開講している。ラグジュアリーがアカデミックの世界でどう扱われているか、位置付けを知るのに彼は最適であると思ったからだ。

 

「ラグジュアリーがビジネス研究の対象となったのは、1998年にスペイン人であるホセ・ルイス・ヌエノの『マスマーケティングのラグジュアリー』という論文が発表されたあたりがきっかけだ。ラグジュアリーブランドのサプライチェーンに関する論文を、われわれが初めて書いたのは2008年。たった10年前だ。それまでラグジュアリーとサプライチェーンを結び付ける研究がなかった。この分野がいかに若い研究かが分かるだろう」とブルン氏は話す。

 

1990年代半ば以降、ラグジュアリー分野の売り上げが成長し始めた現象を捉え、従来の限られた人たちのための高級品が、さほど裕福でない人たちも持てるアクセサリー類に「開放」されてきた。この現象は、本連載で以前(2019年12月号)に書いたように、1970年代の日本人観光客たちがパリのシャンゼリゼ通りにあるルイ・ヴィトンに列を成した頃に端を発しているが、アカデミックな世界がこの変化を研究対象としたのは、それから20年を経てからだったということになる。

 

 

 

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