Vol.21 横丁はなぜ復活したか
北村 森
2017年6月号

青森・八戸に今も残る、古い7つの横丁。大きく掲載した写真は、戦後間もない時期にその名を付けられた「たぬき小路」。このほか、「五番街」「長横町れんさ街」「ロー街れんさ街」「花小路」「八戸昭和通り」「ハーモニカ横町」が連なっている
八戸横丁連合協議会
再活性化に悩む地方都市の中心市街地
「何が悩ましいかといって、地方都市の中心市街地に関する依頼案件ほど困難を極めるものはない」と言ったら、少し大げさになってしまうでしょうか。
中心市街地の再活性化に取り組む地方都市は数々あります。とはいえ、当事者の中で意見が割れたり、打ち上げ花火的なイベントを催しただけで息切れしてしまったり、あるいは助成金頼みの姿勢が見透かされて周辺からの協力が得られなかったり、うまく事が運ばない案件が多いのも事実です。
そうした中、私が注目している地域があります。それは青森県の八戸市の中心市街地。それもいわゆる商店街の話ではなく、新旧8つの横丁(体よく言えば、飲み屋街)です。車も通れないほどの細い路地に、長屋のように飲食店がひしめき合うというスタイルの橫丁です。
八戸の中心部には、昔から数多くの横丁があったのですが、だんだんと廃れ、1990年代の終わりごろには7つの横丁を残すだけとなるほどに減少しました。その7つの横丁、どこも昭和の香りというか、戦後の香りを漂わせる雰囲気です。7つ残っただけでも大した話であると思わせます。
この横丁を巡っては、21世紀に入って風雲急を告げます。一体何が起きたのか、また、そこからどのように復活したのか。今回は八戸の横丁にまつわる話を通して、中心市街地の再活性化へのヒントを探っていきましょう。