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【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2016.09.30

Vol.13 まだ見ぬものを
北村 森

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2016年10月号

色使いの理由

佐久精肉店の社員は、取締役の決断に最初は戸惑いました。「どうして今さら、たれだけを売るのか?」と疑問に思ったのです。しかし、取締役には勝算がありました。東京の商談会での反響(それも食のプロたちによる)を肌で感じていたからでしょうね。
4月に『とまとたれ』が発売されると、地元の消費者からも驚きの声が届きました。また、「どのような料理に合うか」との質問には、「肉料理だけでなく、野菜炒めにも使えますよ」と答えることで、「なるほど」と納得して購入してもらえているようです。
商品開発に当たり、取締役が知恵を巡らせた1つのポイントは、冒頭で触れた青空にトマトというパッケージデザインにありました。スーパーマーケットの焼き肉用たれ売り場は「黒い」。そのイメージを変えるデザインにすることで、この『とまとたれ』の自在性や新規性をアピールしたかったという話には、とても合点がいきます。よくあるたれの容器のデザインとは異なり、しかも「これは何なの?」と、それこそ興味が湧くパッケージになっています。
この商品の取材を終え、あらためて私は感じました。
まず、新しい商品を開発する上で最初に行うべきは、自社の中に存在する素材に光を当てる作業です(2016年9月号で取り上げたウイスキーが、まさにそうでした)。
そして、プロが集まる商談会への出展から、思わぬ好機を得られるケースがあるということです。商談会で知り合ったプロに会っていった結果、大きな契約をつかむ可能性は十分にあるのです。あまたのプロに「まだ見ぬもの」を伝えるには、こちらがまず動く必要があるということですね。


筆者プロフィール

北村 森 (きたむら もり)
1966年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1992年、日経ホーム出版社に入社。記者時代よりホテルや家電、クルマなどの商品チェックを一貫して手掛ける。2005年『日経トレンディ』編集長就任。2008年に独立。テレビ・ラジオ番組出演や原稿執筆に携わる。サイバー大学客員教授(ITマーケティング論)。著書『途中下車』(河出書房新社)は2014年にNHK 総合テレビでドラマ化された。最新刊に『仕事ができる人は店での「所作」も美しい 一流とつき合うための41のヒント』(朝日新聞出版)。

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