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【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2016.09.30

Vol.13 まだ見ぬものを
北村 森

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2016年10月号

「何、これ?」の声

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トマト味のジンギスカン(肉)は1998年に同店が編み出した。2015年9月、東京・池袋で催された商談会に初めてブースを出展。2日間で食のプロ1000人が、このブースに列をなした。そのことに驚くと同時に、トマト味のたれだけを肉から独立させて発売することを思い立ったという

この商談会は開催2日間で、食関連のプロたちが4000人ほど来場するイベントと聞いていたそうです。「1000食を用意すれば大丈夫」と思っていたのに、この1000食は瞬く間にはけてしまったといいます。ブースの前には人が途切れず、通路に長い列が続くほどでした。
この商談会、一般消費者の来場はなく、あくまで食のプロたちだけが対象でした。列を作っていたのは、大手食品メーカーの管理職や、ホテルの料理長だったそうです。佐久精肉店の取締役は考えました。いったい、この長蛇の列は何なのだろうかと。
ここまでの熱視線を浴びた理由を、取締役は次のように理解しました。
「東京の人は『まだ見ぬもの』『知らなかったもの』を必死で探しているんだ」
実際、ブースに寄ってきたプロたちから、「何、これ?」という声が相次いだそうなのです。要するに、その道のプロが求めているのは、まさに「何、これ?」と思わせるような存在だったということなのでしょう。
取締役は、その場で決断しました。「東京に向けて売るべきは、たれに漬け込んだ肉ではなく、このトマト味のたれそのものだ」。ジンギスカンのたれ自体が本州などの大都市圏では珍しいですし、しかもトマト味のたれなら、ジンギスカン用のラム肉に合わせるのに限らず、使い道は多彩であるはず、とも確信しました。

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