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選ばれる会社へ、「決断」を。
【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2016.09.30

Vol.13 まだ見ぬものを
北村 森

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2016年10月号

18年前の転機

「トマト味のジンギスカン肉を売ったのは、うちが恐らく初めてでしょうね」と同社の取締役は言います。
佐久精肉店では、ジンギスカン用のたれを、大正11(1922)年生まれの先代が、長らく手作業で仕込んでいました。しかし、年々需要が高まり、また一方で、先代が高齢化したこともあって、パートナー企業と連携して生産する体制に切り替えることを決断しました。それが1998年のこと。
先代の “俺の味”を再現するのは大変な作業だったそうです。しかし、それが叶った場面で、「せっかくだから、このタイミングでトマト味のたれも作ろう」となりました。トマトの甘味や酸味が、先代直伝のたれに合うことを発見できたのは、同社にとって大きな転機となりました。
そこからの18年間、旭川ではトマト味のジンギスカンが地元の人々に愛されてきました。ただし、その味は、北海道から外に出ることはほぼない、ローカルな味であったわけです。
では、なぜ今回『とまとたれ』を全国に向けて発売することを決断したのか。きっかけは取引先銀行の担当者が発した「勉強のために、一度、東京の商談会に赴いてはどうか」という提案でした。佐久精肉店の取締役にしてみれば、地場の食肉卸が商談会のブースで何を展示すればいいのか、当然迷います。しかも商談会への出展は初めてのことだったそうです。そして、結論は出ました。佐久精肉店らしい商品を持ち込むならば、トマトのたれに漬け込んだ肉を出すしかない、と。

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旭川市にある直営店。常連客からは「たれだけを売るのか」と驚かれたそう

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