コラム2016.01.20
Vol.5 香川は「縫製県」でもあった
北村 森
2016年2月号
「うどん県」といえば香川ですが、この地にはもう1つ、根付いている文化があります。それは何かというと「縫製」です。
■あえて断る
国内の縫製業は、中国の工場などに押され、価格競争の面で厳しい競争にさらされています。ところが、ここ香川を巡ると、そうした状況下でも、しぶとく対抗しているばかりか、その秀逸な品質を武器にして強い存在感を放っている企業にいくつも出会います。
今回は、「縫製県」でもある香川から、3つの企業の話を綴りたいと思います。
まずは、丸亀市の「ヴィンテージ リバイバル プロダクションズ」という工房を紹介しましょう。
2008年に兄弟で事業を起こし、財布など、あらゆる革小物の開発から製造、販売までを手掛けています。代表の塩田裕基氏は、もともと小型船舶を造る会社の3代目だったそうですが、不況によって受注が激減。最後には、年に1隻程度しかオーダーが入ってこなくなりました。そこで、思い切って転業。
革小物の世界には、それこそ先達がひしめいています。しかし、このヴィンテージ リバイバル プロダクションズは立ち上げてからわずか数年で、人気ファッションブランドや有名どころの雑貨店、東京の人気百貨店との協業で、実績を積み重ねているのです。