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【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2019.10.31

Vol.50「プロのプライド」の伝え方

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2019年10月号


保冷バッグ「KURUMI」
2019年夏に、東急ハンズ新宿店でテスト販売商品として採用された「KURUMI」。左右21cm、奥行き15cmという小ぶりの帆布製で、見たところ可憐なデザインのバッグとしか思えないが、実はプロ仕様を誇る高性能保冷バッグである。岐阜県の町工場、北瀬縫製が開発・製造し、販売価格は3980円(税抜き)。
北瀬縫製
岐阜県関市武芸川町小知野876-1 TEL:0575-46-2301

「なに、これ?」型の商品

まずは何をおいても、今回取り上げる商品がどんなものなのか、読者の皆さまに当てていただきたいのです。「バッグでしょ?」と答えが返ってきそうですね。

そうです。バッグなのです。でも、ここで紹介するからには、ただのバッグではありません。

これ、「保冷バッグにまったく見えない保冷バッグ」なのです。外側は帆布製ですし、口を開いて中をのぞいても保冷バッグによくある、あのギラギラのアルミシートはまったく見えない。

これなら、毎日の通勤通学に、ごくごく自然な形で持ち歩けますね。お弁当や飲み物を入れて、あとは保冷剤を載せておけばいい。

これ、岐阜県関市にある総勢わずか13名の町工場、北瀬縫製から生まれた保冷バッグです。商品の名は「KURUMI(くるみ)」といい、値段は3980円(税抜き)。

これを目にした消費者、あるいは大手流通企業のバイヤーは、決まって「なに、これ?」と驚くそうです。それはそうでしょう。これまでにこうした商品は、まず存在しなかったと思われますから。

私、いつも繰り返しお伝えしていますが、「なに、これ?」型の商品ってやっぱり強いのです。一般の消費者だけでなく、プロの目利きであるバイヤーも「まだ見ぬもの」を必死で探しています。それをものにできるか(開発しきれるか)が、中小企業にとっては勝負どころとなるわけです。

「大手メーカーではまず開発しないでしょうね。面倒な作りだから」と言うのは、社長の北瀬澄男氏。

確かに、このような保冷バッグは、商品としてはいわばニッチな存在ですね。しかし、市場全体から考えてニッチな商品だとしても、そこに一定数の需要を見込めるなら、中小企業1社にとって十二分な市場規模と言えるかもしれません。そこがもう一つのポイントとなります。

KURUMIはまさに、大事な二つの要素(「なに、これ?」と「中小企業にとっては十分な市場性」)を持ち得た商品であると、私には思えました。

しかも、さらに「だめ押し」と表現できるだけの特性をも備えているのです。

保冷バッグでありながら、外にも中にもギラギラのアルミシートは見えず

保冷バッグでありながら、外にも中にもギラギラのアルミシートは見えず

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