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【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2019.04.26

Vol.44 完成の後こそが大切だ

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2019年5月号

北の屋台 2001年に北海道・帯広の中心市街地で誕生したのが「北の屋台」。全20店舗ある各屋台の面積はそれぞれ、わずか3坪。席数は8、9席という構造。季節ごとに共通の食材を用いたフェアを開催するなど、イベント企画にも余念がない 北海道帯広市西1条南10丁目7 http://kitanoyatai.com/

北の屋台
2001年に北海道・帯広の中心市街地で誕生したのが「北の屋台」。全20店舗ある各屋台の面積はそれぞれ、わずか3坪。席数は8、9席という構造。季節ごとに共通の食材を用いたフェアを開催するなど、イベント企画にも余念がない
北海道帯広市西1条南10丁目7
http://kitanoyatai.com/

屋台村の元祖は帯広だった

皆さんの街には、「屋台村」がありますか。一つの敷地に集中して屋台を並べ、さまざまなジャンルの料理店をそろえるという形態の屋台村ですが、現在では北海道から沖縄まで、全国各地で見掛けることができます。

このようなトレンドが生まれたのは、21世紀に入ったばかりの時期からです。最初にできたのは北海道の帯広。今回取材した「北の屋台」が元祖なのです。

開業は2001年夏なのですが、そのきっかけは、地元青年会議所のOBたちの手による発案でした。人の行き来が少なくなった市街地の活気をどう取り戻すかを考えに考えた結果でした。

それにしても、どうして屋台だったのでしょうか。そこには緻密な計算があったようです。

ただ単に飲食施設を造るというのでは、持続する町おこしにはなりづらい。飲食店など、すでにたくさんありますからね。

青年会議所OBたちはこう考えた。入居を募るのは、個人でこれから飲食店を起業したいという方たちだけに絞ろう。新しい息吹を中心市街地に集結することが大事。そして、屋台であれば、起業するにしても初期費用は200万~400万円と低廉で済む。

さらに屋台の形で起業し、実力を蓄えたら、ここの屋台村を卒業して街に出てもらおう。そうすれば、街にも賑わいを広げることができるはず??。

つまり、ただ「屋台村を造れば客が来る」といった単純なもくろみではなかったのですね。街に“いい循環”を巻き起こすことが、当初からの大きな目標として掲げられていたのです。

それでも当初は、反対の声が上がったといいます。「街の中心に屋台村など設けたら、街の飲食店はますます客足が途絶えるじゃないか」というふうに。でも、すでにもう客足は途絶えているわけです。その意味では、客の食い合いではなく、客そのものを街に取り戻そうとしたのですね。

反対の声はまだあります。「冬にマイナス10℃を下回るような寒い街で、屋台など成立するはずがない」と。でも、マイナス10℃までにはならないとはいえ、20世紀から屋台が根付いている九州の博多だって、冬はそこそこ寒いですし、戸をしっかりとしつらえた屋台できちんと暖房すれば、問題ないと踏んだそうです。

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