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【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2018.10.31

Vol.38 コモディティー化に対抗する手立て

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2018年11月号

素材の良さを殺さない

その前者の方について、もう少しお話ししましょう。担当者は言います。

「先ほども話しましたが、アクリルは本来、高級素材です。その良さを生かさずに作られた商品が、このところ多くなりすぎたのではないでしょうか」

どういうことか。業界全体の話として、ややもすれば「せっかくのアクリル素材を使っても、商品をもっと安くもっと安く、という方向に流れすぎるきらいがあった」というのですね。

加工の仕方にも問題があったそうです。下手に手を掛けすぎると、かえって安っぽく見え、しかもアクリル本来の素材感や透け感は死んでしまう、ということらしい。

その結果、アクリルの持ち味が殺されたような商品が多く出回り、アクリル全体のイメージが悪化。そうした流れから、「アクリル製なんて安物でしょ」という評価が定着してしまった、という話。

だから、「箔コースター」では、アクリルが有する特性がなんだったのかをあらためて考え抜いたというわけです。そうして、透け感の美しい、品のあるコースターが出来上がりました。売れ行きは先にお伝えした通りです。

商品化に当たって、もう一つ大事にしたところがあるとも聞きました。それはパッケージ。

1枚ずつ、透明な袋に包まれているのですが、シンプルながら、なかなかに洒脱な印象です。

「参考にしたのは和菓子屋さんのお菓子の包みでした」

なるほど。それ相応の値段を付ける商品であれば、パッケージングにも当然、細心の気遣いが求められるわけです。“商品の神様は細部に宿る”と私は常々、考えています。こうした戦術も正解だったのでしょう。

コモディティー化にあらがうには、まず、その本来の特徴は何であったかに立ち返ること。納得しきりの取材でした。


筆者プロフィール

北村 森 (きたむら もり)
1966年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1992年、日経ホーム出版社に入社。記者時代よりホテルや家電、クルマなどの商品チェックを一貫して手掛ける。2005年『日経トレンディ』編集長就任。2008年に独立。テレビ・ラジオ番組出演や原稿執筆に携わる。サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。著書『途中下車』(河出書房新社)は2014年にNHK総合テレビでドラマ化された。そのほか『仕事ができる人は店での「所作」も美しい 一流とつき合うための41のヒント』(朝日新聞出版)など。

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