Vol.38 コモディティー化に対抗する手立て
2018年11月号
悪循環に陥ると……

toumei 箔コースター
「toumei」シリーズは、長年にわたって樹脂加工に携わってきた益ます基き樹脂による、生活雑貨のブランド。その文字どおり、樹脂の持つ透明感を生かした商品を繰り出している。今回取り上げた「toumei 箔コースター」は2016年秋の発売。周囲から漏れ聞こえた「アクリルのコースターなんて売れるのか」との予想に反して、当初見込んでいた5倍もの売れ行きを続けている。金のアルミを手押しした和の模様が12種類あり、販売価格1枚864円(税込み)
http://toumei.asia/
「コモディティー化」という言葉があります。
ある商品分野で、品質や性能の競争が行きつくところまで達してしまって、もはやそれらでは差別化しにくい状況になったとします。そうすると、あとは価格面によってしか差異を付けられない局面に陥ってしまう、という話。
いっときの家電製品や生活雑貨などがそうですね。
消費者はどう動くか。「どうせ、どの商品を選んだって性能には大差ない。だったら少しでも安い方がいい」。そんな購入選択をしてしまいますよね。
すると、企業の側も、安値競争に走らざるを得ません。そして悪循環が始まります。売り上げが伸びないから、思い切った機能を打ち出すような新商品開発に踏み切る余力はなくなってくる。
消費者の側からすると、その商品分野の購入にわくわくするような要素が消えるわけですから、購入意欲もそがれていきます。
こうしたコモディティー化に、企業が抵抗する手段はないのか。なかなかに難しいテーマであると思います。何せ、商品特性で他社をリードしようにも、やるべきことはもうし尽くした状態であるとも想像できるからです。それに、消費者は、その商品分野をすでに「いかに値段が安いか」という目でしか見なくなっているわけです。
でも、だからと言って諦めるのはまだ早いかもしれません。
今回取材した益基樹脂(埼玉県三郷市)の事例は、とても示唆に富んでいました。同社は樹脂製品の企画、製造、販売をしている企業です。
プラスチックやアクリルといった樹脂製品など、まさに「コモディティー化の最たる物」と思わせられますが、同社の取り組みには、勉強になる部分が多々あると私は感じたのです。