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【コラム】

旗を掲げる! 地方企業の商機

「日経トレンディ」元編集長で商品ジャーナリストの北村森氏が、地方企業のヒット商品や、自治体の取り組みなどをご紹介します。
コラム2018.01.31

Vol.29 土産物の姿を変えた一念

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2018年2月号
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「重い」からの脱却を

秋田出張の折、ふと目に飛び込んできた「がっキー」という、インパクト十分な文字。「何だ、この土産物は」と思いつつ、先を急いでいたので、買わずに通り過ぎました。後でちょっと調べてみると、それは『いぶりがっキー』という商品で、秋田で売れに売れているらしい。

だったら、「帰路の秋田空港で購入しよう」と決めて売店に寄ったところ、どうしても見つからないのです。店員さんに聞くと「あまりの人気で、注文をかけても満足に入荷できないんです。それもこのところずっと……」という返事。空港のショップが求めても仕入れられないなんて、相当なヒット商品です。

東京に戻ってから、どうにかインターネットで取り寄せられました。

いぶりがっキーは、秋田名産のいぶりがっこ(燻した大根の漬物)を細いスティック状にして、硬めの食感となるよう、さらに乾燥させたスナックでした。

ポリッポリの食感なのですが、かみ締めているうちに、だんだんと薫蒸香やたくあんの味が伝わってくる。オフィス用のおやつとして机に忍ばせておくにもいいし、自宅での酒のさかなにもぴったり合う。しかも、いぶりがっこをいちいち取り出して包丁で切って盛り付ける手間が一切要らない。何より、この珍しい食感は誰かに伝えたくなる。これは売れるはずです。

秋田名産のいぶりがっこを細く切って乾燥させた商品。その名は『いぶりがっキー』。同県湯沢市の伊藤漬物本舗が2009年に開発・発売し、そこからじわじわと認知度が高まっていった。そして、2017年に大ブレーク。現在では、秋田空港の売店でも品薄状態が続いているという、局地的ヒット商品に。販売価格450円(税別) http://www.ito-tsukemono.com/

秋田名産のいぶりがっこを細く切って乾燥させた商品。その名は『いぶりがっキー』。同県湯沢市の伊藤漬物本舗が2009年に開発・発売し、そこからじわじわと認知度が高まっていった。そして、2017年に大ブレーク。現在では、秋田空港の売店でも品薄状態が続いているという、局地的ヒット商品に。販売価格450円(税別)

この商品を作った人に会いたくなって、もう一度秋田に舞い戻りました。現地取材です。

開発したのは、同県湯沢市の伊藤漬物本舗で、伊藤明美社長自らの発案だったそう。

どうして、こんな商品を?
?
「秋田土産というのは、とにかく重くて大きいものばかりでしょう。日本酒、稲庭うどん、お米、そして、いぶりがっこもですね」

そうした「重い、大きい」イメージから秋田土産を脱却させたい、というのが、開発の出発点だったそう。

しかし、話は簡単ではなかった、とも。当初は周囲から「いぶりがっこをこんなふうにするなんて突拍子もないことを」という評が立ちました。

そもそも、いぶりがっこを乾燥させること自体が、難しいとされていました。いぶりがっこの内包する旨みの成分が乾燥には向かないらしいのです。

2017年には秋田新幹線の車内販売に採用された。そのネーミング、パッケージデザインには目を引く強さがある

2017年には秋田新幹線の車内販売に採用された。そのネーミング、パッケージデザインには目を引く強さがある

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