Vol.28 巨大市場なき分野を攻める
北村 森
日本の電気自動車(EV)の世界が、これからどうなるのか、とても難しい部分がありますね。先日、マーケティングを研究する先輩と話す機会がありました。
電気自動車を巡るルール作りは、このままいくと欧州勢が鍵を握る可能性があります。一方、米国は自動車メーカー以外のIT企業(例えばGoogle)が、まさにロボットといえそうな自動運転の電気自動車で覇権を取ろうと動いています。中国やインドは、恐らく値段の安い電気自動車を大量に普及させようとしてくるでしょう。すでに中国は、EV生産の大きな拠点を確立しているとも聞きます。
となると、日本の電気自動車は、どこを攻めるべきか。
「日本の得意分野を考えると、軽自動車的な存在と電動車いすの間を攻める、という手があるかもしれない」と、先輩は指摘してくれました。なるほどと思いましたね。2人で話しながら、うなずき合いました。
そのような会話を踏まえて、2017年10月下旬に開幕した「東京モーターショー」の会場を訪れたわけですが……。まさに、というものが展示されていました。
横浜市のベンチャー企業であるWHILL(ウィル)のブースにあったのは、やけに格好いい電動車いすです。このベンチャー企業、2014年に電動車いすの第1号機を99万5000円(非課税)で登場させていましたが、17年夏に、その本格普及版といえる45万円(非課税)の電動車いすの出荷を開始しました。ブースには、ピンク、ゴールドといったカラフルなフレームが目を引くモデルが並んでいました。カラーリングは6色。「こんなにカラフルな車いすは他にないはず」と、WHILLの広報担当者も笑っていました。
写真をご覧ください。どうですか。先鋭的なメカっぽさがインパクト十分ですし、私にはスタイリッシュなデザインに見えます。