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梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
2016.09.30

vol.13 会話のしくじりを、どう防ぐか?

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2016年10月号
 
心当たりがあれば しくじりの可能性あり
 
 
 
例えば、こんな経験はありませんか?
 
1.会話する相手と発言のタイミングがぶつかる
 
 
2.ネタ探しに奔走、相手の話に集中できない
 
 
3.会話が段取り通りに進まないとイライラしてしまう
 
 
 
どれか1つでも「経験アリ」という方は、しくじっている可能性があります。
 


 
 
 
1.会話する相手と発言のタイミングがぶつかる
 
初対面同士の会話でありがちですが、これが日常的に結構多いという方は要注意です。
「おっと失礼、どうぞ」「いえいえ、そちらから」。言葉のぶつかりも、初回の会話を和ませるには絶好のチャンスです。とはいえ、2度目、3度目に会う相手と「絶好のチャンス」を繰り返していては、会話の進展は望めません。
 
 
何度も言葉がぶつかり合う原因は、相手を観察しながら話していないことです。
 
 
「私は、しっかり顔を向けて話していた!」
 
 
そうおっしゃるかもしれませんが、顔は向けていても、ぼーっとうつろに見ているようでは相手の呼吸が聞こえてきません。
 
 
話を聞くとは「表情と呼吸を同時に聞き取る」ということです。声を発する人は息を吐いています。どんなにおしゃべりな人でも、1分、2分も息を吐き続けることはできません。必ず息を吸う瞬間があります。話し掛けるなら、そのわずかな瞬間を読み取り、そのタイミングで「相手に向けて声を発する」。これで「ぶつかり事故」は未然に防げます。
 
 
相手がひとしゃべりした後、「スー」と息を吸ったその瞬間を見逃さず、「ええ」「はい」「ほー」「なるほど〜」「それから?」「面白いですねえ」「いいですねえ」と、相手と同じ程度の音圧で言葉を挟むと、違和感のないやりとりが生まれます。やりとりのリズムが整ってくれば、会話は順調に進んでいきます。
 
 
相手の呼吸を見ない、感じないまま、こちらの都合で相づちを入れると、言葉と言葉が重なったりぶつかったりして、相手の会話意欲をそぐことになります。
 
 
相手の「話し出し」を察知する手段は、呼吸観察だけではありません。感情を全く顔に表さない人もたまにいますが、人間は、話す内容を予告するように、言葉に先行して表情が何かを語ろうと動き始めます。その「気配」を察知したら即座に「聞き逃さない態勢」を取ります。表情観察が大事だということです。
 
 
察知したら、姿勢を軽く前に突き出したり、顔を上げたりして、「さらにしっかり聞きますよ」という非言語メッセージを伝えることで相手の会話を促進できます。
 
 
「体全体で話を聞け」と言うと大げさに聞こえますが、実際にはかすかに姿勢を正す程度で十分です。
 
 
「聞いています」ということを伝えようとするあまり、「うんうん」「はいはい」「ほうほう」と過剰に相づちを打つのは避けるべきです。相手は急かされたような、場合によっては「この人は本当は聞きたくないんだ」という誤った認識をしてしまいます。
 
 
相手の表情と呼吸を観察しながら聞けば、「言葉のぶつかり事故」を防げるのと同時に、相手の話の流れや会話の行方まで見えてきます。
 
 
会話の見通しが立つと、さらに両者の交流はスムーズになっていきます。
 
 
 

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