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【メソッド】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2016.06.30

vol.10 不適切な日本語がコミュニケーションを阻む?

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2016年7月号

企画書が「煮詰まる」のは悪いこと?

もう1つ、例を紹介します。D県の教職員採用試験の問題の一部からです。

問題:「煮詰まる」の意味は「議論が行き詰まってしまい、結論が出せない状態になる」だ。〇か×かで答えよ。

正解は「×」とありました。「煮詰まる」の本来の意味は、「行き詰まる」ではなく、「結論にたどり着いた状態になる」であるという伝統的な解釈を正解としているのです。

一方で、実際の会話場面ではどちらが多数派なのでしょうか? 『国語に関する世論調査』では、2007、2013両年度において、「(議論が行き詰まってしまって)結論が出せない状態になること」よりも、「(議論や意見が十分に出尽くして)結論が出る状態になること」という本来的な言い方を選んだ人の割合が多い結果となりました。

すなわち「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味で使うのは、多数派ではないというのです。こういう場合は、躊躇(ちゅうちょ)なく「行き詰まるの意味」で使うことは避けるべきです。本来的な意味であり、世論調査で多数を占め、試験問題でも正解とされているものは、仮に周囲の人たちがよく使っている場合であっても、「自分は影響される必要など全くない」と腹をくくって良さそうです。

ちなみに複数の辞書を引いて調べてみましたが、「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味として容認するような用例は見つかりませんでした。

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