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【メソッド】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2016.06.30

vol.10 不適切な日本語がコミュニケーションを阻む?

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2016年7月号

「枯れ木も山のにぎわい」を使えるのは? 

「変化し続ける言葉=揺れる言葉」にどう対応したらいいのでしょうか?

同じ言葉が逆の意味で使われる例をもう1つ紹介します。

若手営業担当者のCさん。取引先の重役を、自社のパーティーに誘おうとしています。

Cさん「山田専務! 弊社のパーティー、ご参加いただけますか?」

山田専務「ええ、もちろん」

Cさん「ありがとうございます! 『枯れ木も山のにぎわい』と言いますから、どうぞよろしくお願いいたします」

山田専務「……」

さて、Cさんの言い方はどうでしょうか?

「目上のお客さまを枯れ木呼ばわりして失礼で不適切」と感じる人もいれば、「素敵に輝く目上の方が参加すれば、会場は一段とにぎわいを増す」との褒め表現で「適切だ」と感じる人もいて、理解の仕方が2つに分かれます。

『国語に関する世論調査』(平成26年度)では、「人が集まればにぎやかになる」ことだと感じる人が多いという結果が出ています。

私も少し迷ってしまいました。『三省堂国語辞典』では、この調査で増えていると指摘された言い方(人が集まればにぎやかになる)での記述はゼロ。自分に使うへりくだった言い方「枯れ木も山のにぎわいと言いますから、出席いたします」の用例のみが掲載されていました。日常的に辞書を手にする人々には、今でもこちらの「伝統的な言い方」が支持されていることが想像されます。

いくつかチェックした採用試験問題にも、全て「枯れ木のような(老いぼれた)私のような者でも、居ないよりはましですから伺います」と、謙譲表現で使用する文例を正解としています。

今風だからといって、いい大人がそのまま同調するのは危険だという気になってきました。皆さんは、どう感じますか?

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「枯れ木」扱いしないで!

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