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【コラム】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
コラム2018.11.30

Vol.39 「言葉の正しさ」との付き合い方

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2018年12月号

上司と部下のこんなやりとり

ある上司(部長)が新規プロジェクトの進捗状況を部下のA君に尋ねました。若いながらなかなか優秀で頑張り屋のA君に、思い切って大事な役割を任せることにしたため、上司としては少々心配な部分もあったのです。だからといって、心配そうなそぶりを見せてプレッシャーを掛けることは彼のモチベーションを下げる恐れがあると気遣いながら、さりげなく声を掛けたのです。

部長「どう、その後、例の件は?」
A君「ここにきて、煮詰まってきました」
部長「ほう、そうか」

ニッコリ笑顔で立ち去る上司に対して、不安な表情のA君。

A君「こんなに行き詰まって、切羽詰まった胸の内を吐露したというのに、部下をサポートすべき部長は何の助言も与えず、馬鹿にするかのように『そうか』の一言。そうか、部長の期待に十分応えられない自分はもう、見捨てられたんだ……。このプロジェクトから外されるな。この会社、辞め時かも……」

人はこういうネガティブなモードに入ると、どんどん落ち込んでいく場合があります。彼なりに「煮詰まった」という慣用表現を使い「窮状」を訴えたのに、まともに取り合うこともなく冷たく聞き流す部長の態度に落ち込むばかり。

「仕事が行き詰まり、どうにもこうにもならない状況だから助けてください」という、本来とは逆の意味で「煮詰まった」を使ったA君に対し、部長は本来の意味「議論が十分に出尽くし、結論を出せる状態になった」と理解し「ほう、そうか、それはよかった!短期間によくそこまで来たなあ。その結論を楽しみに待っているぞ」と、うれしい気持ちやホッとした気持ちの全てを口に出さず、心に秘めてニッコリ笑った(のかもしれない)のでした。

国語に通じた(慣用句を本来の意味で理解できる国語能力の持ち主)上司は、部下への配慮(任せたことにあまり口出しすべきではないとの気遣い)を怠らない人だったことが、災いとなったケースです。

同じ言葉を、双方が全く逆の意味で解釈すると「こんな事態を引き起こしかねない」とご理解いただいた上で、いよいよ2018年9月発表の「国語に関する世論調査」に話を戻しましょう。

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