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梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2018.09.28

Vol.37 口うるさい上司に突っ込まれがちな言葉

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2018年10月号

世間からずれているから「世間ずれ」?

続いて第2問!「世間ずれ」の本来の意味はどっちでしょう?

①世間を渡ってずる賢くなっている

②世の中の考えから外れている

①とお答えの方、正解です!正解の根拠は、辞書、文法書、多くの国語学者の見解に基づいています。いわゆる「マナー本」もこちらを支持しています。

世間ずれを漢字で書けば「世間擦れ」です。「擦れる」とは「こすれる」に加えて「世間になれて悪賢くなる」(三省堂国語辞典第7版)という意味や、「いろいろな経験をして純粋な気持ちがなくなる」(大辞泉)という意味があります。「すれっからし」の「すれ・擦れ」ですね。

従って、世間ずれは「世間を渡ってずる賢くなっている」というわけです。誤答の主たる原因は、「ずれ」を「擦れる」ではなく「ずれる」(本来あるべき位置からずれる、適正な範囲からずれる・外れるなど)と捉えていることです。「世間からずれている、基準がずれている、視点が外れている」とイメージを膨らませた結果かもしれません。

ところが、現代日本人の認識は正解通りかと言えば、ノー!なのです。2013 年度の「国語に関する世論調査」によれば、「世間ずれ」の本来の意味とされる「世間を渡ってずる賢くなっている」を支持する声が35.6%、本来の意味ではない「世の中の考えから外れている」が55.2%。

10年前のデータでは「本来の意味」が51.4%で「本来ではない意味」が32.4%でしたから、たった10年で世間の認識が逆転となったわけです。とりわけ若い世代に本来とは異なる意味を支持する人が多いことを考えると、今後、本来とは異なる意味がさらにその割合を大きくしていき、そのうち「本来の意味」の「本来」とは何なんだ!?となるかもしれません。

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