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【メソッド】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2018.05.31

vol.33 34歳イケメン社長のたくましい言葉

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2018年6月号

年上の部下は、やりやすい

34歳の社長の下には80人を超える社員たちがいます。半分近くは社長より年齢も社会人経験も長い人たちです。

梶原「年上の部下って、やりにくくないですか?」

石川「ないですね。例えば仕事上でAかBを決めるとき。社長が言うからこっちにする、ということが、まるでないんです。それはこの会社では判断基準が明確だからだと思います。全ては『お客さまの体験(満足度・喜び)が上がるのはどっち?』で決まります。それに年長者は自分のやりたいことがハッキリ決まっているから、仕事の任せがいがあります」

梶原「ほう?」

石川「ある社員は、元外国要人の公邸で料理人をしていました。彼はわが社が目指す方向を向いているというわけではありません。自分でレストランを持つための『手段』や『トレーニング』だと潔く割り切っています。それが結果として、とても助かっています」

梶原「どういう面で?」

石川「弁当やケータリングのメニュー作成でいろいろなレストランのオーナーや料理人との交渉を担当してもらったら、ピッタリはまりました。自分が一番興味を持っている分野ですから、交渉相手の話をしっかり聞けるわけです。おかげさまで、良いアイデア、良いメニューが続々誕生しました。明確な目標を持った人に、その方向の任務を果たしてもらえることほど心強いことはありません」

梶原「若い人はどうですか?」

石川「34歳の私が『今の若い人』って言うのも変ですが、『将来こうなりたい、こうしたい』という自分の目標を口にできる人が少ない気がしますね。『ああはなりたくない、ああしたくない』って、他人のことは言うんですが。そうだ、先日、面白いことで相談に来た社員がいました」

梶原「どんな相談ですか?」

石川「何をどう考えたのか謎なんですが、リンゴを売って回りたいから退職したいと言い出すんです」

梶原「軽トラに載せて駅前でリンゴとかモモを売る仕事?」

石川「それが、よく分からないんです。私も今の仕事にたどり着くまではいろいろやってきましたから、むげに否定しない方がよいと思い、『それは土日だけやるってわけにはいかないの?』と聞きました」

梶原「納得しました?」

石川「ええ、それでやったんですって、土日にリンゴ売り」

梶原「どうでした?」

石川「『やっぱりやめることにしました』って言うから、うちを退職するのかなあと思ったら、リンゴ売りの方をやめるんだそうで。『それじゃあ、あらためて頑張ろうか?』と言ったら、にっこり笑っていました」

梶原「以後どうですか?」

石川「吹っ切れたようで、スッキリした顔で元気に働いています!リンゴ売りの何がどうだったかは知りませんが、自分なりにチャレンジして、もがき苦しみ、思考が整理されたんじゃないかと思います。自分と向き合い、『自分は何が好きで何をしたいのか』を確かめる良いチャンスだったんじゃないですかね」

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