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【コラム】

ドイツ人はなぜ毎年150日休み、 1日10時間未満の労働でも会社が回るのか

ドイツ在住ジャーナリストである熊谷徹氏による連載。労働時間が短く生産性の高いドイツの働き方を紹介しています。
コラム2019.01.31

最終回 ドイツ流の働き方から学ぶ、「働き方改革」へのヒント

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2019年2月号

長期休暇を取得する

ドイツのビジネスパーソンは長期休暇中に会社のメールは読まない。会社のメールを読んでいると、休暇の良さを満喫できず中途半端になるからだ。休暇中に会社のことを忘れられれば気分転換でき、次に出社した時に気分がリフレッシュされ、あらためて会社でのやる気が高まるだろう。しっかり休むことで、自身のやる気を取り戻すのだ。

休みを取って仕事から離れることに不安を覚える人がいるかもしれないが、効率よく働くためには休むことが重要なのは本連載で何度もお伝えした。もし、会社から与えられた1年当たりの有給休暇の日数が14日間ならば、思い切って14日間全部消化してみてはどうか。一度に全てを消化せず、何回かに分けて消化するところから始めてもよいだろう。

長期間休む場合には、いくつかポイントがある。まず、自分に代わって顧客からの問い合わせに答えてくれる同僚を決めること。また、顧客の不満を和らげるためにも、顧客に対して休暇を取ることを伝えて、その間に業務を担当する同僚の名前、電話番号、メールアドレスを教えておきたい。当然、自分の代わりになってくれる同僚への業務引き継ぎは重要だ。

私は2カ月の育児休暇を取った営業パーソン(男性)を知っているが、顧客への周知と同僚への引き継ぎをしっかりと行ったことで、育児休暇中に問題は生じなかった。社内・社外コミュニケーションが大事である。

また、長期休暇は課の全員が交代で取れるようにすることが重要だ。さもなければ、不公平感が生まれる。誰もがまとまった休みを取れるようにするには、日頃から自分の仕事を自分だけで抱え込まずに、他の同僚たちと共有することが不可欠である。自分がいない間に顧客から問い合わせがあったときに、他の同僚が書類を見て顧客に返答しなくてはならないからだ。

会社のサーバーに全ての課員がアクセスできる共有フォルダを作り、誰が見てもすぐに業務を担当できるようにする。こうしたフォルダがあれば、顧客からの問い合わせに担当者以外の人でも答えられる。自分が担当した案件に関する書類は、必ずこのフォルダに入れることを義務付ける。本人しかアクセスできないフォルダは、原則として禁止する。紙の書類もスキャンしてこのフォルダに入れる。クラウド・サーバーを使えば、出張先からもアクセスできるので、なお良い。課員全員がアクセスできる共有フォルダは、課の全員が長期休暇を交代で取れるようにするための前提条件だ。

フォルダは、年度や件名によって分類し、誰でもすぐに書類を見つけられるようにする。読者の皆さんにも経験があると思うが、書類を見つけるのはかなり面倒で時間がかかる作業だ。その点、ドイツのファイリングシステムはコンピューターが普及していなかった時代から効率的で、アルファベット順に書類を分類するので、膨大な文書の中から比較的短時間で書類を見つけることができた。フォルダの構成はできるだけ単純にし、複雑な構成を避けたい。

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