コラム2018.12.27
vol.5 ドイツの仕事術を100%コピーする必要はない
丁寧な接客態度
日本の商店やレストランにおける従業員の態度も、ドイツに比べると丁寧である。近年では、スーパーやレストランのレジでお金を払って帰ろうとすると、店員が胸に両手を当てて「どうもありがとうございました」と言いながら、深々とお辞儀をすることが多い。店員がこれほど丁寧なお辞儀をするというのは、ドイツでは考えられない。
ある和菓子店では、買った商品を紙袋に包んで手提げ袋に入れてくれるだけでなく、店員がわざわざカウンターの奥から店の前まで出てきて、客に手提げ袋を手渡し、見送ってくれる。雨が降っている時には、紙の手提げ袋に雨よけのビニール袋を掛けてくれる。至れり尽くせりのサービスだ。日本に住んでいる読者の皆さんは「特に珍しくもない」と思うかもしれないが、ドイツのサービス砂漠に埋もれている私は、こういうサービスを受けると感動してしまう。
日本の理髪店や美容院の中には、コーヒーを出してくれたり肩をもんでくれたりする店もある。しかも、日本では理髪店においてチップを払う必要がない。
デパートでは客が売り場の前の通路を通るだけでも、店員から「いらっしゃいませ」「どうもありがとうございました」と声を掛けられる。買ってもいないのに礼を言われると、なんだか恐縮してしまう。
代金を払う客の立場から考えると、店員さんが親切で丁寧な態度を取ってくれると、やはり気分が良い。「また来て買おう」という気持ちになる。