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【コラム】

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タナベコンサルティンググループ、タナベ経営の副社長・長尾による年4回連載。経営環境や市場トレンドを踏まえ、企業経営の未来に向けて提言します。
コラム2020.04.30

Vol.2 「超・分散」のススメ

「経営には上り坂、下り坂、まさかの坂」があるという。2001年の米同時多発テロ、02年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行、08年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災、15年のチャイナショック、そして20年、今まさに直面しているコロナショック。さらには毎年のように自然災害にも襲われている。過去20年間に何度も起こった“予期せぬ危機”に、大小はあれども影響を受けなかった企業は存在しないだろう。

 

これらの度重なる危機を目の当たりにすると、“まさかの坂”ではなく“必ず来るピンチ”としてリスクと対峙していかねばならない。

 

と言うと、BCP(事業継続計画)が重要となるのだが、本稿では視点を変え、“ピンチをチャンスに変える”という思考で進めてみたい。

 

オススメするのは「超・分散」である。

 

年商100億円の成形加工業A社の稼働得意先は月間平均で150社ある。しかも、顧客の業種、エリア、用途、単価ゾーンが分散している。故に、経済ショックなどによって特定の産業からの受注が減少しても、伸びている産業に経営資源をシフトできる。この変幻自在の経営で、A社は20年間成長し続けている。

 

分散の切り口として、まずはエリアの分散が挙げられる。海外と国内、都市部と地方、駅前と郊外といったように分散させる。

 

次に顧客の分散である。BtoB(法人向け)なら顧客の産業、BtoC(消費者向け)なら顧客層の分散だ。

 

さらに、顧客価値の分散である。インバウンドと自家消費など、購買動機やニーズによって分散する。

 

販売・顧客獲得方法も分散させる。店舗での販売とウェブでの販売、営業担当者による見込み顧客獲得とウェブプロモーションによる顧客開拓などへ分散する。

 

サプライチェーンの分散も重要だ。原料、調達品、調達先、仕入れ先、工場、物流などを複数に分散させる。

 

最後は収益構造の分散である。高投資・高固定費・高付加価値率の事業は、高稼働では高収益を得られるが、稼働が下がった時の赤字幅が大きく、存続の危機を迎える。

 

さらに、「超・分散」を実現するためには、組織力が大事になる。ポイントは常時開拓力、事業を黒字にする経営人材のプール瞬発力のある組織カルチャーの3点である。

 

さあ、いつピンチが来てもチャンスに変えることができる、変幻自在の経営を磨いていこう。

 

Profile
長尾 吉邦Yoshikuni Nagao
タナベ経営 取締役副社長。タナベ経営に入社後、北海道支社長、取締役/東京本部・北海道支社・新潟支社担当、2009年常務取締役、13年専務取締役を経て、現職。経営者とベストパートナーシップを組み、短中期の経営戦略構築を推進し、オリジナリティーあふれる増益企業へ導くコンサルティングが信条。クライアント先の特長を生かした高収益経営モデルの構築を得意とする。著書に『企業盛衰は「経営」で決まる』(ダイヤモンド社)ほか。
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