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コンサルティング メソッド

タナベコンサルティンググループの各分野のプロフェッショナル・コンサルタントが、経営戦略・事業戦略・組織戦略などの経営メソッドを解説・提言します。
2017.05.31

「働き方改革」を通して
「社員総活躍企業」をつくる
川島 克也


2017年6月号
 
(4)新しい家族の形をつくる(New 家族主義企業)
 
「家族主義」を標榜する日本企業は多い。しかしながら、時代によって家族の形が変わるように、企業における“家族の形”も変化は避けられない。昭和の家族は、家族全員で同じ時間に、同じ場所で食事をして、同じテレビを見るというのが一般的であった。だが平成に入って、家族の形は多様化している。
 
同じように、企業においても、PC・インターネット、携帯電話の普及により、ワークスタイルは大きく変化している。「家族主義企業」の形にも変化が必要である。

 
例えば、サイボウズには「育自分休暇」という制度がある。これは、35歳以下の社員であれば、退職しても6年以内ならサイボウズに復職できる制度である。若いときに自社で仕事を経験した社員は、「サイボウズの理念・価値観を共有した人材」であり、そういった社員が他社の仕事のやり方、考え方を学んで戻ってきてくれるのは、会社にとっては雇用確保以上にプラス効果が大きいとの考えである。
 
捉え方によっては、「家業を営む経営者が、後継者の子どもを修業に出して、成長して戻ってきて、家業を大きくさせる」のと同じ考え方ともいえる。また、ソウ・エクスペリエンスでも、サイボウズと同様に副業を認めており、社員一人一人の「働きがい」「成長」をバックアップしている。
 
従来の家族主義企業の多くは、「年齢給」「年功給」「家族手当」「住宅手当」「食事手当」といった給与で報いることで「つながり」を保っていたように思われる。社員一人一人を家族として、その成長を描くことで、新しい家族主義企業をつくる視点が必要である。
 
(5)トップのリーダーシップ
 
働き方改革に限らず、改革にはトップのリーダーシップが必要だ。事例3社は、それぞれの取り組みをトップ自ら実践しているのが共通点である。トップが働き方改革を方針として宣言すると同時に、トップ自ら行動を変えることで推進力を発揮する。
 
また、3社に共通しているのが、どれだけ成果を上げても、自社の取り組みには課題がまだまだあると考えていることである。人材を「企業経営の中心」と考えているからこその問題意識であり、「人材活躍」は企業にとって永遠の課題であることの表れでもある。
 
 
 
人材投資により“人を活かし、育てる会社”となる
 
企業経営における3大投資は、「商品開発投資」「市場開発投資」「人材開発投資」である。しかし、商品開発と市場開発は進んでいるが、人材開発が遅れている企業、そもそも人材開発投資に対する意識がない企業もまだまだ多い。投資というと、「お金を出して外部研修を行う」というイメージを持たれがちだが、前述のようにトップと役員が「人材戦略ディスカッション」を行うこと自体が投資でもある。

 
2017年3月に、「ほぼ日」をJASDAQに上場させたコピーライターの糸井重里氏は、「上場で調達する資金を使って人がほしい。人を一人雇うのは工場を一つ建てるのと同じようなもの。それほど一人の人間が果たす役割は大きい。大きな工場が一つ建つぐらいの人が会社に入ってくれるような環境を整えるには、大きなコストがかかる」と述べている(日本経済新聞電子版、2017年3月4日付)。まさしく、今後の人材投資に対する指針を示している言葉である。

 
製品・サービスのコモディティー化が進む中で、競争力を生み出す力は紛れもなく人材である。「働き方改革」を一時のブーム、規制に対する対症療法的な対策に終わらせず、社員総活躍企業(=人を活かし、育てる会社)になる戦略と捉えて取り組むことが求められる。
 
 
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