「働き方改革」を通して
「社員総活躍企業」をつくる
川島 克也
川島 克也 Katsuya Kawashima
経営全般からマーケティング戦略構築、企業の独自性を生かした人事戦略の構築など、幅広いコンサルティング分野で活躍中。企業の競争力向上に向けた戦略構築と、強みを生かす人事戦略の連携により、数多くの優良企業の成長を実現している。
働き方改革の本質は社員総活躍企業
現在の企業経営の重要課題は、「働き方改革」である。実際、最近の企業の中期経営計画や年度方針を見ると、働き方改革(もしくは、それと同じ趣旨のもの)をテーマに掲げている企業が目立つ。
しかしながら、その内容を見ると「残業時間の削減」や「女性社員、高齢社員が働きやすい職場づくり」のように、断片的に捉えている企業が多い。確かに、慢性的な長時間労働体質で、「社員の退職が後を絶たない」「精神的な病気を発症する社員が増えている」「社員のモチベーションが低下している」など、現象面での課題が発生している企業は、残業時間の削減が優先事項となるだろう。
ところで、働き方改革とは何か。ここで挙げるのは、政府の「働き方改革実現会議」がまとめた「働き方改革実行計画」のロードマップ(期間:2017~2016年度)で示された主な11項目である。
あらためて項目を見てみると、今後の労働人口の減少に対し、いかにして労働力を確保していくかという姿勢が伺える。企業にとっても、労働力確保は重要な課題であり、働き方改革を進めることで必要な人材を確保する効果が得られる。
ただ、単なる“頭数合わせ”的に人材を確保しても、組織としての生産性向上にはつながらない。採用した人材を育成し、活躍してもらい、定着させることによってようやく生産性向上が実現する。働き方改革の本質は「一億総活躍社会」の実現といわれるが、企業においては「社員総活躍企業」を目指すべきゴールとして取り組むことが必要である。
そして、この働き方改革を一過性のブームに終わらせず、組織・人材の改革につなげることが何よりも求められる。