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【特集】

「戦略人事」へのアプローチ

多様な働き方を実現しつつ成果を出せるか。コロナ禍をきっかけに、この命題が企業の存続を左右する経営課題となった。未来を創る人材を確保・育成する「戦略人事」とは。
メソッド2021.10.29

トータルリワードを社員の働きがいにつなげる:内田 佑

ワーク・ライフ・バランスを改善し、生産性向上へ

 

コロナ禍の影響により、テレワークやフレックスタイムなどの導入が多くの企業で進み、以前と比較すると柔軟性の高い働き方が可能になりつつある。これを一時的な対応で終わらせるのではなく、さらに推し進めていけば、従業員のワーク・ライフ・バランスが改善し、仕事への意識が高まり、生産性も上がる。

 

また、「働き方改革」の観点から、選択的週休3日制を導入する機運も高まっており、大企業ではすでに導入が始まっている。休暇を増やす分、給与を減らす企業と維持する企業に分かれるものの、今後も導入する企業は増えていくだろう。

 

中堅・中小企業は、労働環境を大きく変えるに至っていないところも多いだろう。しかし、世の中の流れは確実に労働環境改善に進んでおり、実現できる企業とできない企業で採用や離職に影響が出ることが予想されるため、早期の対応が必要である。

 

 

成長につながる仕事や環境を与え、働きがいにつなげる

 

従業員が安心して働ける環境をつくることはとても重要だが、ハイパフォーマー人材にとってさらに重要なのは、仕事そのものの内容である。

 

ハイパフォーマー人材は、会社や仕事に魅力があり、自身のキャリア構築につながるどうかが重要だと考えている場合が多い。そのような人材にとって、仕事の報酬は仕事である。活躍している社員にはさらに活躍の場を与えることで、自身のキャリア構築はもちろんのこと、他者からの評価・称賛にもつながり、それがまた働きがいとなる善循環が生まれる。

 

例えば、パナソニックには「eチャレンジ」という社内公募制度がある。各部署が必要な人材を公開して一斉に募集する制度で、社員は自己実現に向けて挑戦することができる。また、同社は2018年から「社外留職制度」をスタートさせた。この制度は、パナソニックに籍を置いたまま1年ほどベンチャー企業などの他社に出向できる制度である。

 

風土や価値観が異なるスタートアップでの業務経験を通じて、イノベーション創出につなげるという主旨があるが、さまざまなキャリアの積み上げ方が存在することで、ハイパフォーマー人材のモチベーションアップや離職を防ぐことにもつながる。

 

1つの部署にとどまる限り、いつかマンネリ化する。部署内で新しい仕事を与えることが難しいのであれば、同社のように、部署外や社外に視点を向け、新しい環境を提供することも1つの手法である。金銭的報酬だけに注目するのではなく、自社の社風に合わせた独自の非金銭的報酬を検討・構築・活用し、社員に働きがいを提供していただきたい。

 

 

 

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング部 部長代理
内田 佑(うちだ ゆう)

2008年タナベ経営入社。2020年部長代理。中堅・中小企業の人材採用、5S、営業力強化のコンサルティングを中心に活動。「社員がイキイキ働ける企業づくり」を信念とし、企業の成長発展、活性化に向け日々活躍中。各活動の仕組みづくりから定着に至るまでの着実なサポートでクライアントから高い評価を得ている。

 

戦略採用研究会

タナベ経営の研究会とは、同じ顧客課題の解決に取り組む仲間とともに、視察先企業や最新の企業事例を通じて、ビジネスモデルやマネジメント手法を研究するプラットホームです。

 

 

 

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Profile
内田 佑Yu Uchida
タナベ経営 経営コンサルティング部 部長代理。2008年タナベ経営入社。2020年部長代理。中堅・中小企業の人材採用、5S、営業力強化のコンサルティングを中心に活動。「社員がイキイキ働ける企業づくり」を信念とし、企業の成長発展、活性化に向け日々活躍中。各活動の仕組みづくりから定着に至るまでの着実なサポートでクライアントから高い評価を得ている。
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