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【特集】

「戦略人事」へのアプローチ

多様な働き方を実現しつつ成果を出せるか。コロナ禍をきっかけに、この命題が企業の存続を左右する経営課題となった。未来を創る人材を確保・育成する「戦略人事」とは。
コラム2021.10.29

トータルリワードを社員の働きがいにつなげる
内田 佑


2021年11月号

 

 

【図表】トータルリワードの全体像

出所:タナベ経営作成

 

 

あらためて注目されるトータルリワード

 

2020年1月に新型コロナウイルス感染が日本国内で初めて確認されてからもうすぐ2年になる。この2年間で市場環境は大きく変化したが、その変化に迅速に対応している企業と対応できていない企業には大きな差が開きつつある。

 

変化したのは環境だけではない。社内の意識も変化している。この2年間の対応を見て、自社への不満や将来に対する不安を感じた社員は多いのが実情である。

 

こうした不安を抱えた状態だと、やりがいや働きがいを感じることができず、離職につながるケースも多い。また、ハイパフォーマー人材ほど、自分の成長のためにも自社の成長を重視しており、「コロナ禍をきっかけにスタートアップ企業に転職した」というケースも多い。

 

「安心」「成長」というキーワードをいかに明確にし、社員に伝えるか。そして、働きがい・やりがいにつなげることができるかが、企業の喫緊の課題である。

 

このような環境下で、「トータルリワード」という考え方が再び注目を浴びている。

 

トータルリワードとは、従業員に対する報酬(リワード)を総合的な動機付けの仕組みとして捉える考え方だ。「金銭的な報酬」だけでなく、「非金銭的な報酬」も含めて考え、従業員のモチベーションにつながる報酬体系を整備する仕組みである。(【図表】)

 

重要なのは、非金銭的な報酬である。ハーズバーグの二要因理論でも述べられているように、金銭的な報酬は、慣れてしまえばすぐにそれ以上を求めるようになり、社員の動機付けにはなり得ない。非金銭的な報酬こそが、社員の動機付けにつながる。

 

労働環境の改善に取り組むことで、社員が安心して前向きに働くことができる環境を用意できる。そこに、さらに新しい仕事や責任と権限を与えて成果につなげることで、仕事の面白さや自分自身の成長を感じ、働きがいを感じてさらに仕事に取り組むようになる。

 

このような善循環をつくり上げることができれば、社員はさらに自発的に仕事に取り組むようになり、想像以上のパフォーマンスを発揮する。そのためにも、非金銭的報酬の整備が求められている。

 

 

※米国の臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが唱えた、職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論。

 

 

 

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