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【特集】

ライフスタイルカンパニー

約27兆円の市場規模を持つライフスタイルビジネス(アパレル、 ビューティー、 雑貨、 ホーム、 スポーツ・アウトドア)は、いずれもマーケット縮小が予測されている。顧客との共創によって新たな「ライフスタイル価値」を生み出す企業のビジネスモデルに迫る。
メソッド2021.04.09

ライフスタイルビジネスをデザインする:森田 裕介

デザイン経営実践に必要な3つの要諦

 

【図表4】に示す3社、良品計画(東京都豊島区)、学研ホールディングス(東京都品川区)、ファミリア(兵庫県神戸市)はライフスタイルカンパニーの代表例である。いずれの企業も、企業名を聞くだけでどのような企業かが瞬時に思い浮かぶ。まさにミッション、ブランド、マネジメントのデザインが洗練され尽くされているのだ。

 

 

【図表4】デザイン経営を実践するライフスタイルカンパニーの代表例

出所:タナベ経営「ライフスタイルビジネス研究会」作成

 

市場が成熟したライフスタイル産業だからこそ、何かの領域で圧倒的なナンバーワンとして突き抜けなければならない。

 

最後にライフスタイルビジネスにおけるデザイン経営実践の要諦を3点、提言する。

 

1点目は、「フルモデルチェンジ」である。コロナ禍を経て、社会課題や顧客課題は大きく変化している。課題を的確につかみ、自社の価値を適合させることが求められており、そのためには価値の再定義および絞り込みが肝要である。「丸ごと変える」という経営の意思決定が大切だ。

 

2点目は、「リアル×デジタルの融合」だ。デジタル投資は大企業とそれ以外の企業において年々格差が広がっている。厳しい環境下であるからこそ、攻めに転じるための投資が競争力強化につながる。全ての経営資源においてリアルとデジタルの融合を進めていくことが重要である。

 

3点目は「スピード化」。企業の目的は顧客創造である。成熟した産業であっても、永久的に顧客を創造していかない限り成長はない。成長し続けるために、まずは全従業員のデザインリテラシーやデジタルリテラシーを高め、自社全体を垂直的にリ・デザインしていきたい。

 

この先数年はウィズコロナの経営環境が予測される中、ライフスタイルカンパニーを追求するには、変わり続ける社会課題を的確に捉え、顧客に真に寄り添う経営が求められる。

 

 

ライフスタイルビジネス研究会

自社の顧客価値を見つめ直し”新たなライフスタイル価値”として再定義し、未来へ挑戦するために、本研究会では秀逸なビジネスモデルを有する企業より、イノベーションの要諦を研究していきます。

 

 

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Profile
森田 裕介Yusuke Morita
タナベ経営 経営コンサルティング本部 本部長代理、ライフスタイルビジネス研究会リーダー。大手アパレルSPA企業での経験を生かし、小売業の事業戦略構築、出店戦略、店舗改革を得意とする。理論だけでなく、現場の意見に基づく戦略構築から実行まで、顧客と一体となった実践的なコンサルティングを展開。「お客さまに喜んでいただけるまで妥協しない」をモットーに、業績向上を図っている。
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